不動産トピックス
クローズアップ 管理サポート編
2021.06.29 11:50
設備の管理やメンテナンス業務は手間や時間が掛かるもの。少しでも「手間の解消や業務時間を短縮できないか」と四苦八苦する事業者は多いのではないか。しかしIoTや5G等の活用と普及に伴い、従前までの業務負担が大幅に解消され、利便性の高いサービスの浸透が進んだ。
GMOのハカルエーアイ メーター点検を簡略化・業務負荷低減
GMOインターネットグループのGMOグローバルサイン・ホールディングス(東京都渋谷区)は、主にインターネットサーバーやセキュリティ等のITインフラ整備を展開している。同事業で培ったノウハウを生かして2019年7月から、AIでメーター(計器)点検を簡略化できる「hakaru.ai(以下、ハカルエーアイ)byGMO」の提供を始めた。
ハカルエーアイは、高機能AIを活用した検針サポート特化のアプリケーション。建物の様々な設備機器にあるメーターの検針をスマートフォンにインストールしたアプリケーション「ハカルエーアイ」を使用して撮影するだけ。撮影画像からAIが画像認識と数値計測を行い、Web台帳機能へ自動連携する。これまで(1)目視で確認、(2)手書きで台帳へ転載、(3)PCに入力しデータ化、(4)数値データとメーター画像の保存、で行っていた手順が1メーターあたり数秒で完了するという。ちなみに従来の検針業務で1メーターに掛かっていた時間は約2分30秒(同社調べ)。これがハカルエーアイでは、約8秒で完了する。月ごとの使用量計算や対前年比較などの差分も計算でき、詳細をまとめた情報の一元管理も容易に実現した。
企画開発部の末舛仁史氏は「当初展示会でAI技術を紹介した際は、とある企業から『工場の計器類の管理業務に活用したい』との依頼がありました。他社製品でAIカメラと連動した検針サービスも御座いますが、施設・場所によってはカメラの設置できないケースやチェックの必要な計器類の数が多いなど、必ずしも適応できる訳ではありません。一方ハカルエーアイはスマホで撮影するだけ。場所や環境に捉われず、誤検針の防止や労働作業の簡略化・効率化を実現しました」と強調する。
従前からメーターの誤認やミス、誤検針を改善したい製造工場や管理・ビルメンテナンス会社は多かった。誤検針等を無くすための確認作業には時間が掛かり、数値のエクセル入力等も含めると残業時間が増えた事例も聞く。誤検針が増えれば会社の信用にも響くため、間違えられないが労働時間が伸びるといった悪循環があった。これら毎月の検針及び請求業務等が簡略化でき、誤検針の発生も防ぐことに繋がった。また同サービスは、最大1カ月の無料トライアル期間を設けていることも特長だ。
末舛氏は「電気部品メーカーのローム様をはじめ、ビル管理・メンテナンス会社の関電ファシリティーズ様や大成様、JR東日本ビルテック様などに採用頂いています。管理会社や設備機器のメンテナンス会社から好評を得ていますが、中小ビルオーナーにも運用や活用可能なサービスです。自社保有物件の検針業務に活用してみてはいかがでしょうか」と語った。
ビル管理用の中央監視システム「インフォリーノBA」にクラウド版が追加
きんでん(東京都千代田区)は、「インフォリーノBA」の名称で販売しているビル向け中央監視システムにクラウド版を追加した。クラウド版の提供により、インターネット環境があれば、いつでもどこでも建物内の監視操作を可能とし、ビル管理業務ではこれまであまり発想のなかった在宅勤務やパートタイム型の働き方の実現を支援する。
クラウド版は従来の「インフォリーノBA」と同様に建物の電力・照明・空調・給排水設備の監視操作を行うことができ、スケジュール設定しておくことで自動運転も可能。
監視操作はスマートフォン、タブレットなどのスマートデバイスやモバイルパソコンなどからいつでもどこでも簡単にできる。これまで中央監視室で行っていた監視操作を、トラブル発生場所で機器の状態を確認しながら、あるいは建物内を巡回しながら行える。
また、在宅勤務やパートタイムで働く技術者も監視業務のシフトに組み込むことができるようになり、業務の効率化、働き方改革や労働力不足への対応につなげることが期待できる。また従来は複数建物を監視操作する場合、建物単位でサーバが必要だったが、クラウド版では複数建物の一元管理が可能になった。監視点数の追加やグラフィック画面の変更作業もクラウド経由での遠隔対応ができ、システムの追加変更コストを低減できる。