不動産トピックス
今週の一冊
2021.08.10 10:57
農地と宅地を正しく活用
「農地転用の手続」何をするかがわかる本-あなたの土地、眠っていませんか?
著者:若子 昭一
発行日:2021年3月9日
発行所:セルバ出版
価格:1700円(税別)
土地の扱いは単純ではない。一見して田んぼや畑だったらそこは「農地」のはずだ。農地法で定義する「耕作の目的に供される土地」であることは明らかだ。荒地であったり、家屋が建っていても登記地目は「農地」とされていることもある。地目の変更登記は義務であるが、宅地に転用しても所有者が登記をしていなければそのまま登記上「農地」として放置される。固定資産税を安くするために、登記上の宅地を課税上だけ農地としているケースもある。課税上の地目は登記とは違い、容易に見られないため要注意という。全く面倒だ。
オフィス街ならともかく、住宅地にはまさかの「農地」があるかもしれない。気づいたら「農地」に投資していた、ということもあり得る。
本書は、農地転用許可専門の行政書士による、面倒な転用の手続きを分かりやすく解説した一冊。基礎知識編、農地のランクや転用可否、生産緑地の買い取り申請制度などの他の手続き、申請書の作成や添付書類などを丁寧に説明されており、一通りの実務知識を得ることができる。手続きの丸投げは一時は楽ではあるが、本書は「全部読まなくても使っていただけるよう、章ごとに独立した機能」の構成だ。基礎知識だけでも身に付ける価値はあろう。