不動産トピックス

クローズアップ レンタル収納スペース編

2021.08.10 10:55

 コロナ禍であっても国内全体の施設数は伸びているレンタル収納スペース(ストレージ、トランクルーム)。ビルインタイプも増えており、駅近くや建物のスペックにあまり影響されず長期にわたって運営できるのが魅力だ。昨今ではビル1棟丸々レンタル収納スペースの事例も出ている。

他テナントとの親和性が高いストレージ 荷物を収納するだけから人も集う・使う場所に
建物の立地・設備状況にストレージは柔軟に対応
 デベロップの子会社であるストレージ王(千葉県市川市)は、2012年頃からビルインタイプのトランクルーム事業を展開してきた。今年6月には江戸川西葛西に位置する「たかみビル」3階に同社のトランクルームが出店した。
 ストレージ王のトランクルームは、依頼主のニーズや建物の立地・設備状況などに対し柔軟に対応できるのが強み。1からトランクルーム専用の建物を建設する場合やビルインタイプの開設、借り上げての管理・運営や管理業務のみなど、これまで様々な形態で展開してきた。
 また昨今ではトランクルームを含む投資事業も積極的に展開している。ストレージ王が仕入れた土地に新築のストレージ(物件)を建設。高稼働になったタイミングで売却する手法で、コロナ禍でも変わらず長期安定する資産であることから不動産の投資先として好まれている。
 加えてストレージは、築年数が経過した物件での導入や駅から多少離れた環境でも高稼働に繋げることが可能。ビルインタイプであればテナントの退去や給排水設備の更新といった心配はなく、稼働率が大きく下がることもない。
 代表取締役の荒川滋郎氏は「ストレージは他のテナントとの親和性が高く、コンビニやコインランドリー、シェアオフィスと併設した施設も多いです。最近では宅配ボックスをエントランスに設置することで、荷物の受け取りと収納を1カ所で手軽に完結できる施設も増えてきました。中にはストレージ内(個室)に作業デスクを設置し、小物等を製作した後に宅配ボックスで顧客へ配送する、個人の輸出入ビジネスに対応できたケースもあります」と語った。
 6月に誕生した店舗は、ビル1階にセブン・イレブンが入居する。コンビニとの親和性を意識しつつ、従前から空室で埋め戻しが難しかった3階の新たな活用に繋がった。
ビルの活用方法にストレージも選択肢
 また荒川氏は「これまで荷物を収納するだけのストレージが、人も集う・使う場所になりつつあります」と指摘する。それは上記にも挙げた、他のテナントや用途と複合したストレージが普及してきたからだ。低層階に集客力のある店舗やコインランドリー等の施設を入れ、中層階はストレージ、高層階をオフィスやコワーキングスペースとすることで、物件が多様なニーズに応えながら高稼働が持続する。
 ビルの入退室管理とトランクルームの入退室管理も一緒にでき、かつ入居テナントや低層階の利用者により早めにストレージも埋まる形だ。リーシング力の低下したオフィスビルのリニューアルに好ましいと思われる。
 同社の展開するストレージは2021年7月末時点で130拠点(約7000室)。新たなビルの活用方法にストレージを選択することも妙案かもしれない。

保険適用金額上限を100万円に
 全国でトランクルームを展開し「ハローストレージ」を運営しているエリアリンク(東京都千代田区)は、7月1日より「安心保証パックプラス」のサービスを開始した。「安心保証パックプラス」は、顧客が収納している荷物に対する保険適用可能金額の上限が100万円のサービス。 コロナ禍で増えた在宅時間の過ごし方の見直しに伴い、必要なスペースを確保しつつモノを持つ手段としてトランクルームを選ぶ人が増えている。需要の高まりの中で、高級衣類や高額な収集品などをトランクルームに入れたいというニーズに答えるため、従来サービスでは収納物に対する保険適用可能な金額上限は50万円までだったところ、その金額上限を100万円とする「安心保証パックプラス」のサービスを展開することにした。顧客の希望にあわせて、保険適用可能な金額上限を50万円とするか、100万円とするか選ぶことができる。




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