不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.09.13 10:39

アパグループ ホテル需要回復に向け新規出店を加速 2025年までに15万室へ
 現在、建築・設計中、海外、FC、パートナーホテルを含めて671棟・10万3917室を展開するアパホテル(東京都港区)。同社はコロナ収束後の需要回復に向けて積極的な新規出店戦略を展開している。2020年4月にスタートさせた中期経営計画「SUMMIT 5―3.(第三次頂上戦略)」では、国内で「圧倒的な」トップホテルチェーンとなるべく、2025年3月末までに15万室展開を目指している。
博多エリア8棟目 ドミナント戦略推進
 9月3日、同社は福岡市内8棟目となる147室の「アパホテル〈博多駅前2丁目〉」を開業。
 同ホテルは、福岡市営地下鉄空港線「祇園」駅徒歩3分に位置、ビジネスはもとより、国内レジャー、インバウンドなど幅広い宿泊需要を取り込んでいく。
 同社は現在、博多駅周辺エリアにおいてドミナント戦略を展開しており、同エリアでは今年4棟目の開業となる。ドミナント戦略のメリットを活かした相互送客による売上向上や業務効率化を図っていく。
 客室は全室禁煙とし、客室設備は、独自の「新都市型ホテル」の最新仕様。全室に設置している50型以上大型液晶テレビには、「アパデジタルインフォメーション」を導入し、館内案内をテレビ画面上に集約表示している。
 また、最新の客室設備として、照明スイッチ、空調リモコン、コンセント、USBポート等を集約させた枕元集中コントローラーにHDMI端子を搭載。宿泊者が持参したHDMIケーブルをパソコンやスマホと接続することで、テレビ会議やゲーム、動画等を大型テレビに映し出すことができ、テレワークや日帰りプランにも適した仕様となっている。
 最先端のIT開発として、全予約経路対応のチェックイン機に加え、1秒チェックイン機を導入。アプリによる事前チェックインを行うことで、当日のチェックイン手続きを大幅に簡素化することができる。ルームカードキーを投函するとリアルタイムでチェックアウト処理が行われるエクスプレスチェックアウトポストも設置するなどゲストの時間を大切にしつつ、「非接触」、「待たない」、「並ばない」を実現したストレスフリーのオリジナルデジタルサービスを提供する。
 福岡市内のアパホテルは、建築中を含め10棟・2400室であり、市内最大級の客室数のホテルチェーンとなる。現在8棟・1856室が運営中で今後、9月16日に「アパホテル〈博多駅前3丁目〉」、12月に「アパホテル〈博多祇園駅前〉」の開業を予定している。
中央区で用地取得2023年6月開業
 同社は、東京都中央区内15棟目となるホテル開発用地を取得。取得会社はアパホームとなる。
 案件は、東京メトロ日比谷線・東西線「茅場町」駅より徒歩2分など複数路線・複数駅が利用可能な至便な立地となる。同社はこの地に全166室の「アパホテル〈茅場町 八丁堀駅前〉」として、2023年6月の開業を目指す。
 東京都中央区内では、現在14棟・2251室が運営中だが、同立地は「日本橋」、「銀座」、「東京」エリアなどの都内各所や、「東京ディズニーリゾート」へ好アクセスで、ビジネスやレジャーなど幅広い需要を取り込めることなどから、今回の計画に至った。
 ホテル開業後は、近隣の既存アパホテルとの相互送客や運営の効率化を図っていく。今後も東京23区では、駅前開発用地の取得を中心に、地方中核都市では、既存ホテルの取得によりアパホテルネットワークの拡充を強化していく。
  大阪は既存を買収 大型物件の建設も
 同社はまた、大阪市の「難波南クリスタルホテル」を取得する。
 同ホテルは、地下鉄御堂筋線・四つ橋線「大国町」駅より徒歩1分と「大阪」駅・「新大阪」駅から直接アクセス可能であり、大阪屈指の観光地である難波エリアへのアクセスも至便な立地となる。ビジネスや国内レジャー、インバウンドなど幅広い宿泊需要を取り込んでいく。
 今後、全客室に事務所並みの明るさとなるシーリング照明を設置、BBCワールドニュース無料放映、VODの無料サービス、ベッド寝具をデュベ仕様への変更などを行い、滞在中の満足度を高め、顧客満足度向上に繋げていく。
 同ホテルは、10月29日に「アパホテル〈なんば南大国町駅前〉」としてオープンを予定している。オープン後は、営業を続けながら、4室の増室工事を行うほかホテル館内外のリニューアルとアパホテル標準客室仕様の導入を更に進めていく。
 同社では現在、FC、建築・設計中、リブランド予定を含め、大阪市内で26棟1万1131室、大阪府下では29ホテル1万1479室を展開している。また2025年に開催が決定した大阪万博による需要の拡大を見込み、大阪エリアにおいて大型ホテルの開発に注力、34階建・全1704室の「アパホテル&リゾート〈大阪梅田駅タワー〉」の建設工事に着手したほか、40階建・全2060室の「アパホテル&リゾート〈大阪難波駅タワー〉」の建設を計画している。

ソラーレ ホテル ズアンド リゾーツ 再生案件を相次ぎオープン
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)では、既存ホテルのリブランド案件を相次ぎオープンさせる。
 同社はコロナ禍で大きな打撃を受けている宿泊業界の存続と、地域経済を活性化させるため、2020年6月に事業再生支援チームを発足させている。運営会社の変更を伴うホテルの再生や承継支援、運営会社を変更せずに収益向上を図る運営支援や送客支援など、広く宿泊事業の再生を支援。金融機関、投資ファンド、コンサルティング会社等を含むネットワークの構築や、宿泊施設が所在する地域経済の活性化にも注力している。
 秋にオープンさせた「ザ・スクエアホテル横浜みなとみらい」(神奈川県横浜市)は、“ザ・スクエアホテル”ブランドで、銀座と金沢で展開しており、3軒目となる。
 同ホテルは、横浜高速鉄道みなとみらい線「新高島」駅より徒歩8分に位置、20階建て全232室。最上階となる20階にレセプションを設置している。「横浜アンパンマンこどもミュージアム」や「よこはまコスモワールド」なども近く観光に適した立地でありながら、大企業の本社をはじめとしたオフィスビルも多い。大型の展示会やイベントが開催されるパシフィコ横浜も徒歩圏内にあり、観光はもちろん、ビジネスユースにも期待している。
 10月にオープンさせる「チサン バジェット 金沢駅前」(石川県金沢市)は、JR北陸本線「金沢」駅より徒歩5分に位置、地上12階建て392室。「Always clean, simple & Good price」のブランドコンセプトのもと、清潔で快適な空間とスマートなサービスを提供し、“いつでも気軽に利用できるビジネスと観光の拠点“を目指していく。
 アメニティと貸し出し備品は、フロントで宿泊者自身に必要なものを選べるSMART SELECT(スマート・セレクト)のスタイルで提供する。
 同社は「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ロワジール」「ロイヤルパインズホテル浦和」「チサン」など15のホテルブランドを有し、国内56カ所、海外1カ所、7851室のホテル宿泊部門および売店部門・料飲部門・大浴場・スパの運営、アセットマネジメント、フランチャイズ運営などの事業を展開している。

OYO Hotel ポイントプログラムをスタート
 OYO Japan合同会社(東京都千代田区)が展開する「OYO Hotel(オヨ ホテル)」では、新たに「OYOポイントプログラム」をスタートさせた。
 OYO HotelのLINE公式アカウントを友だち登録されている人を対象に、OYO Hotel加盟の宿泊施設を予約、宿泊するたびにポイントを獲得することができる。ポイントを貯めた特典として、500円割引券や1泊無料券をプレゼント。付与された特典はOYO Hotel加盟の全宿泊施設予約時に利用することが可能だ。
 今回のプログラム提供開始に関し、同社共同代表で副社長でもある田野崎亮太氏は話す。
 「OYO HotelのLINE公式アカウントの運用開始に続いて、この度お客様とのコミュニケーションを強化する取組みのひとつとして、LINEを利用したポイントプログラムを開始しました。是非、ポイントプログラムを利用して全国に200軒以上ある様々な施設にご宿泊いただきOYO Hotelをリピートご利用いただきたいと考えています」。
 同社は2019年に日本でサービスを開始した「OYO Hotel」と「OYO Ryokan」を国内で展開。ホテル、旅館、不動産賃貸の施設を100都市以上運営している。

スーパーホテルが山梨に開業 地元とのコラボで地域活性化
 「Natural, Organic, Smart」をコンセプトとして、地球にも人にも優しいホテルを目指すスーパーホテル(大阪府大阪市)では、「スーパーホテル富士河口湖天然温泉」(山梨県南都留郡)を開業。富士急ハイランドや地元飲食店とのコラボなど、山梨ならではの取り組みで地域活性化を狙っていく。
 同ホテルは、富士急行線「河口湖」駅より車で約5分に位置、建物構造RC造5階建て、客室数105室。
 客室では従来のユニットバスタイプではなく、フルセパレートタイプの客室を初めて設置。今後ますます観光需要が拡大されることを見込み、複数名での利用者に朝からゆったりと身支度してもらえるよう用意した。 
 女性の美容と健康を考えたレディースルームにも同タイプの浴室を用意。レディースルーム限定で美容ブランドReFaの肌を美しくするシャワーヘッド「ReFa FINE BUBBLE」を試すことができる。
 同社オリジナルのプランとして提供する「富士急ハイランドフリーパスプラン」は、富士急ハイランドの絶叫マシーンに一日何度でも乗り放題のチケットがセットになったプラン。また、「地元飲食店のお食事券セットプラン」は、富士河口湖でしか味わえない地元の人気飲食店の食事券が付いたプラン。山梨名物「ほうとう鍋」を味わえる店をはじめ、提携店舗を拡大させている。




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