不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.10.04 11:04

マリオット・インターナショナル 京都に高級施設開業
 世界最大級のホテルチェーンであるマリオット・インターナショナル(本社・米国メリーランド州)は、「HIYORIチャプター京都トリビュートポートフォリオホテル」(京都府京都市)をグランドオープンさせた。
 同ホテルは、地下1階地上6階建て、スイートルーム2室を含む全203室。京都市のメインストリートの一つである河原町通りに面し、市営地下鉄東西線「京都市役所前」駅から徒歩4分に位置する。ホテル周辺には京都風情漂う鴨川が流れ、京都御所、京都御苑などの京都を代表する観光名所へも至便な立地であり、さらには二条城、妙蓮寺、京都文化博物館などにも足を運びやすいロケーションにある。
 同ホテル最大の特徴である「CHAPTER FACTORY」は、宿泊者に旅の体験価値を提供する。1つ目は京都を知り尽くした「チャプターガイド」。一人ひとりの嗜好に合わせ、限られた時間の中でも記憶に残る旅となるよう、「ここでしか出逢えない」オリジナルの京都物語を提案する。2つ目の特徴は「手のひら一筆箋」。 「CHAPTER FACTORY」には京都旅について描かれた約50枚の「手のひら一筆箋」が用意されている。一筆箋には、誰もが知る京都の観光スポットではなく、寺の和尚からホテルの支配人まで、京都を知り尽くした人々の旅の記録が記されており、一筆箋を携えて旅をすることによって、今まで知らなかった京都に出逢うことができる。
 スイートルーム2室を含む全203室のゲストルームは、平均25㎡以上の空間に、伝統的な日本の茶室をモチーフにした。シモンズ製のベッドをはじめ、窓際に備え付けたソファー、デザイン性の高いバスルーム・パウダールームなどを配置した。
 最上階のスイートルームには、リビングルームとベッドルームに加え、室内で檜風呂を楽しめる空間を用意した。またスマートチェックインや、スマートフォンをルームキーとして登録できるサービスのほか、様々な要望をシンプルにひとつの客室電話ボタンから依頼できるマリオット・ホテルズのワン・ストップ・サービス「アット・ユア・サービス」を導入している。

小田急箱根ホールディングス ”観光型MaaS”を本格スタート
 小田急箱根ホールディングス(神奈川県小田原市)では、観光でのDX推進の一環として、「観光型MaaS」を本格的に開始する。箱根での新しい旅行体験の提供を目指していきたいという。
 10月1日から、観光情報サイト「箱根ナビ」を箱根観光プラットフォームへ大幅リニューアルし、「デジタル箱根フリーパス」を含めた全13種類のデジタルチケットを発行している。これにより全てのチケットがブラウザ上で購入可能となる。
 デジタルチケットの中には、目的地で選べる「大涌谷きっぷ」、「芦ノ湖きっぷ」に加えて、車で来訪した観光客をメーンターゲットに据えた箱根の乗り物をコンパクトに利用できる「箱根のりものパスLite」を新たに発行する。行き先や来遊スタイルに応じた多様なチケットをいつでもどこでも購入できるようになる。 
 また、11月には「箱根湯本」駅から芦ノ湖を結ぶ座席定員制バス「芦ノ湖ライナー」座席券の発売、12月からは、期間限定で箱根エリアの観光施設や温浴施設など全22施設が、有効期間中に何度でも利用できるサブスクリプションサービス「箱根遊び放題チケット(はこチケ)」の発売も予定している。
 2022年3月には多言語版「箱根ナビ」のリニューアルを予定。インバウンド需要の回復を見据えた受け入れ環境の整備を行っていく。
   同社では将来的に「観光型MaaS」の機能を拡充し、宿泊施設や観光スポットと連携した予約や決済の一元化などを推進していく計画。小田急箱根グループでは、小田急グループ経営ビジョン「UPDATE 小田急」で掲げるDX、共創、ローカライズの発想によって、シームレスな移動を実現し、非接触により安心で魅力的な箱根観光の提供を目指していきたいという。

ソラーレホテルズアンドリゾーツ 既存ホテルをリブランドし事業再生
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)は、既存ホテルをリブランドし、年内に「チサン グランド 高山」(岐阜県高山市)を開業させる計画だ。
 全78室からなる7階建ての建物で、JR高山本線「高山」駅より徒歩1分、中部縦貫道「高山IC」より車で10分に位置する。
 同社の事業再生チームが手掛けた。同社では、コロナ禍で大きな打撃を受けている宿泊業界の存続と、地域経済を活性化させるため、2020年6月に事業再生支援チームを発足。運営会社の変更を伴うホテルの再生や承継支援をはじめ、運営会社を変更せずに収益向上を図る運営支援や送客支援など、広く宿泊事業の再生を支援している。また、金融機関、投資ファンド、コンサルティング会社等を含むネットワークの構築や、宿泊施設が所在する地域経済の活性化などにも努めていきたいという。
 今回リブランドする「チサン グランド 高山」では、その土地の旬を味わい、ごはんを美味しく食べてもらえるよう“ごはんのお供”を様々に取りそろえた朝食など、来館者に心地よく過ごしてもらえるホテルを目指して、サービスを提供していく。
 同社は「雨庵 金沢」、「ザ・スクエアホテル」、「ホテル・アンドルームス」、「ロワジール」、「ロイヤルパインズホテル浦和」、「チサン」など15のホテルブランドを有し、国内56カ所、海外1カ所、7851室のホテル宿泊部門、売店部門・料飲部門・大浴場・スパの運営、アセットマネジメント、フランチャイズ運営などの事業を展開している。

前田産業ホテルズ サブスクプランを販売
 沖縄県本島北部でホテル事業を展開する前田産業ホテルズ(沖縄県名護市)では、運営する3ホテルを対象に用途や目的に合わせて自由にホテルを選び、サブスクリプション利用できる「ウィークリー&マンスリーオーナー契約宿泊プラン」を販売。
 通常のロングステイのように同じ人物が同じホテルに長期間滞在するスタイルとは異なり、複数の人が入れ替わりながら3つのグループホテルを利用できるところが特徴。企業の福利厚生や長期出張、ワーケーションでの宿泊利用のほか、デイユースやサテライトオフィスなど、幅広い用途での利用を期待している。
 ホテルのサブスクリプション利用プランとして、月契約または週単位での契約で対象のホテルから選び1日1室を通常の宿泊利用だけではなく、デイユースやサテライトオフィスなど、幅広い用途での利用が可能。対象のホテルは、名護市の中心部にほど近く、ビジネスでの利用に便利な「ホテルゆがふいんおきなわ」、沖縄美ら海水族館をはじめ、定番の観光スポットや人気のビーチへのアクセスが良いもとぶ町の2ホテルから、用途や目的に合わせて選ぶことができる。

リーガロイヤルホテル内に「リハビリ」サービス提供
 ロイヤルホテル(大阪府大阪市)では、ポラリス(兵庫県宝塚市)、ワイズ(東京都港区)との協業により、同社が運営するリーガロイヤルホテル内で、外出自粛により低下したADLや身体の機能改善を目指す高齢者や要介護者向けの「ホテルリハビリ」サービスの提供を開始する。
 これは現役医師が組んだ歩行改善プログラム・理学療法士らによる専門リハビリと、家庭のようにくつろげるホテル宿泊を組み合わせたサービス。 
 10月1日に自費型の自立支援施設「ポラリス ステイPremium」をリーガロイヤルホテル内に開設した。2019年2月には、ワイズが運営する脳卒中の後遺症改善に特化した自費型パーソナルリハビリ施設「Y's ヘルスケアラボ 脳梗塞リハビリセンター大阪」も同ホテル内に開設しており、この度3社がもつ特長を活かし、低下したADLや身体の機能改善を目指す「ホテルリハビリ」サービスを提供することとなった。
 今回提供するサービスでは、ホテルに滞在しながら快適な環境で集中的にリハビリを行うことで、ストレスのないリハビリ通所を実現しながら、一人ひとりに合ったオーダーメードのリハビリプランを提供する。
 2泊3日のホテルステイとリハビリプランを体験できる体験プランでは、「ポラリス ステイPremium」での医師による事前事後カウンセリングとリハビリ(計約4時間)と「Y's ヘルスケアラボ 脳梗塞リハビリセンター大阪」の鍼灸+理学療法士によるリハビリ体験が可能。
 長期滞在型で集中的なリハビリができるベーシックプランでは、2時間×週5日の「歩行に特化」したリハビリと、2時間×週4日の「手足・生活動作の機能改善に特化」したリハビリを1か月に渡って体験できる。

ホスピタリティオペレーションズ 会議室予約サイトをオープン
 ホスピタリティオペレーションズ(東京都千代田区)のグループ会社であるホスピタリティエージェント(同)は、ビジネスユースの会議室をリーズナブルに簡単予約できるサイト「ビズアポ-BIZ@PO」をオープンさせた。
 コロナ禍でビジネスマンがオフィス以外で商談や打ち合わせをする機会が増えている。それに比例して「喫茶店やオープンスペースでは、情報漏洩などのリスクがあり心配」「大切なお客様との商談なのでフォーマルな会場を予約したい」という声も多くなったことから、「今まで手間が多くかかっていた貸し会議室やホテルの会議室予約を簡単でリーズナブルにできるようにした新しい発想の予約サイトとしてリリースしました」(同社)という。
 同社は、企業研修や社内イベントを中心にホテルや貸し会議室、研修所などの予約手配を行っているBtoB専門の旅行代理店。その他に、研修情報サイト「MITOKO」の運営、合宿研修施設検索サイト「CO-MIT」の監修、研修所運営コンサルティングなどのサービスも提供している。手配可能な施設は日本全国1000カ所以上、年間約3000件の研修やイベントの支援を行っている。

スクウィーズがクリーン電力導入
 SQUEEZE(東京都港区)は、自社運営ホテルである「Minn」、「Theatel」などの複数施設で、アスエネの再エネルギー100%・CO2ゼロのクリーン電力を導入する。CO2削減、地産地消、電力コストのリアルタイムでの可視化を可能にし、環境に配慮したスマートオペレーションの構築を目指していく。
 SQUEEZEは、「空間と時間の可能性を広げるプラットフォームになる」という企業ビジョンのもと、ホテルのクラウド運営を可能にするソリューションを提供してきた。海外拠点または在宅環境からでもホテルのフロント業務を行うことのできる遠隔オペレーションや、非対面・非接触型モバイルチェックイン、最新のIoTなどの多様なシステムと柔軟に連携できるフロントシステム「suitebook」の提供を通じ、宿泊産業のデジタルトランスフォーメーションを推進している。
 一方、アスエネは、「次世代によりよい世界を」をミッションに掲げ、再エネ100%・地産地消・コスト削減に繋がるクリーン電力サービスを展開している。




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