不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2021.10.11 10:30
星野リゾート 「OMO」ブランドの出展を加速 今年度中に「小樽」「沖縄」「京都」にも開業予定
2018年に第一号店 都市観光をコンセプト
国内外に51施設を運営する星野リゾート(本社・長野県北佐久郡)が展開している都市観光ホテル「OMO」が好調だ。同ブランドは「寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げる都市観光ホテル」をコンセプトに、都市観光客に向けて、街を深く知り、楽しむサービスと仕掛け満載のホテルステイを提案するもの。
2018年に誕生し、同年4月に「OMO7旭川」(北海道旭川市)、5月に「OMO5東京大塚」(東京都・豊島区)、2021年4月に「OMO3京都東寺」「OMO5京都三条」(京都府)を開業。今冬には北海道小樽市に、「OMO5小樽(おもふぁいぶおたる)」を開業させる。
同ホテルは、「ソーラン、目覚めの港町」をコンセプトに、港町「小樽」の知られざる歴史や文化、食の魅力を届けることで、寝るだけでは終わらせない、旅のテンションを上げるホテルを目指していく。
JR「小樽」駅より徒歩約10分に位置。施設構成は、北館地上7階建て、南館地上3階建て、客室数は92室、OMOカフェ&ダイニング・ラウンジ・ライブラリー、大浴場・サウナを併設する。
同ホテルが位置しているのは、多くの歴史的建造物が集合する「北のウォール街」と呼ばれるエリア。小樽市指定歴史的建造物の「旧小樽商工会議所」をリノベーションした南館、機能性とデザインを追求した北館の2館で構成されている。フロントやラウンジなどを備えたパブリックスペース「OMOベース」には、小樽の街歩きが充実する「ご近所マップ」を設置。土産が買えるアトリエやガラス工房、街の寿司屋の本日のネタなど、様々な情報を掲載。また、「ご近所ガイドOMOレンジャー」が、小樽の知られざるスポットや文化を案内するツアーを展開する予定だ。
同社によれば、「街のあたたかな人たちとの出会いや隠れ家のようなお店など、今まで知らなかった小樽の魅力に深く触れることができます」という。
客室は旅の目的や同行者に合わせて選択できるよう複数タイプを用意。例えば、レトロなデザインとゆとりのある空間が特徴で、特別な旅行にも相応しい「スーペリアルーム」や、明るい空間に快適な団らんスペースを設えた「ツインルーム」などを用意している。
「東京大塚」は改修 都電好きをターゲット
一方、125室の「OMO5東京大塚」(東京都豊島区)では9月6日に、「都電ルーム」をリニューアル。もともと都電ビューが特徴の客室に、運転士気分になれるソファや、線路を模した立体ラグ、都電沿線の街の雰囲気も味わえるようなデザインを加えた。
ホテルに滞在しながら、街のシンボルである都電荒川線を身近に感じることができる演出を施した。3密を回避したホテルの客室内で、ローカル線の旅気分を味わうことができ、電車好きの利用者や子供連れのファミリー旅行のニーズを期待している。
大塚は、東京都内では珍しい路面電車の都電荒川線が走る街として知られている。同ホテルは、都電の線路に隣接しているため、その姿をテラスや客室の窓から眺めることができる。「“街を楽しむという視点”から新しい宿泊体験をお届けしたい」というホテルスタッフの思いから、2018年に「都電ルーム」を誕生させた。2020年からは、コロナ禍で遠出が難しくなったことに伴い、首都圏の利用客が増え、「都内に住んでいるけど、東京に路面電車があることを初めて知り、新たな東京の一面を知ることができた。」「客室の窓から都電が走る姿や音を間近で見聞きしながら、電車好きの子供と一緒にゆっくりとホテル滞在を楽しめた。」との声を聞くことが増えたという。
るうふ 古民家一棟貸しを改修
古民家一棟貸し宿を運営する、るうふ(山梨県笛吹市)はこのほど、「るうふ 書之家」と「るうふ 丘之家」を同時リニューアルオープンした。
同社は、山梨県に拠点を置き、築100年前後の古民家を改修し、一棟貸しの宿を6棟運営している。施設は、各宿ごとに異なる”火の体験”、”時の体験”、”土地の体験”を用意しており、各地域や家に残る歴史を深堀りし、地域ならではの体験をしてもらえる体験型宿泊施設。
「るうふ 書之家」は2020年9月に「和紙の里を望む蔵風呂の宿」としてオープンしたが、9月1日に「和紙の里を望む心と身体の癒しの宿」としてリニューアルしたもの。同施設の蔵風呂は、光を落とした空間にある檜風呂で、オリジナルのブレンドティーを風呂に浸かりながら楽しむことができる。
一方、「るうふ 丘之家」は、2020年9月に「ぶどう畑に囲まれた丘の上の宿」としてオープン致したが、こちらも2021年9月1日に「葡萄畑に囲まれたワインを愉しむ宿」としてリニューアルオープンした。
2階の空間ではワインが楽しめるラウンジを用意。るうふが厳選した山梨県産ワインを取り揃えているのが特徴。食事は古民家フレンチレストラン「ラ・メゾン・アンシェンヌ」より出張シェフを呼び、フレンチ料理を提供するプランも用意する。
釧路プリンスホテル リゾートワーケーション提案
釧路プリンスホテル(北海道釧路市)では、リゾートワーケーションを提案。
同ホテルでは、ワーケーション等で長期滞在利用者向けの宿泊プランや「コワーキングスペース」と連携し、宿泊者がコワーキングスペース利用時に料金が割引になるサービスを用意した。滞在中は予定に合わせて利用可能な「カーシェア」もあり、ホテルを拠点に仕事での移動や観光・買い物にも気軽に利用することができる。
ホテルからの眺望とともに、秋は夕日のベストシーズン、冬は花粉ゼロの空間・タンチョウやオオワシ等の野鳥観察、さらには、港町ならではの海の幸や地酒なども楽しめる「世界三大夕日の街くしろ」でのワーケーションを提案していく。
釧路市では、『「むしろ、くしろ」僕たちのあたりまえは、むしろ贅沢らしい』をキーワードに、長期滞在等で滞在する人達の声を反映し、コワーキングスペースなどの施設を充実させている。ホテルから徒歩約5分の場所に、いつでも利用可能なオフィスとして「コワーキングスペース」があり、自由な時間・スタイルで利用することが可能だという。
ファンダーラックス 貸切宿泊型結婚式スタート
少人数で宿泊型の結婚式をプロデュースする「花ノ家族婚」を運営するファンダーラックス(大阪府大阪市)では、瀬戸内の半島の宿「URASHIMA VILLAGE」(香川県三豊市)での貸切の宿泊型の結婚式「花ノ家族婚~刻~」をスタートさせる。
同施設は、地元に100年続く企業や、地域に飛び込んで新たに事業を始めた企業など様々なバックグランドを持つ11社が結集し、完全地元密着方で運営。そのため、サービスも食も全てがその時その場所でしか味わえない時間や文化が、同社の「花ノ家族婚」の考えと合致したもの。
全館貸切宿泊婚プランは、トータル費用が10名で178万5800円。
「花ノ家族婚」は、結婚式当日が「人生最高の日」であるだけではなく、二人が出会って積み重ねてきた時間と同じくらい長く続く幸せを花嫁と花婿に「BEST DAYS EVER」をコンセプトに十人十色の結婚式をプロデュースしている。結婚式を行った後も、また家族で帰ってきたくなる場所を日本全国から探し、各々の場所の価値を活かしたそこでしか味わえない結婚式を実施する。
アパホテルが奈良エリアに初進出
アパホテルネットワークとして建築・設計中、海外、FC、パートナーホテルを含む672ホテル、10万4021室を展開するアパホテル(東京都港区)はこのほど、奈良県初進出となる「アパホテル〈近鉄奈良駅前〉」を開業させた。
同ホテルは、「近鉄奈良」駅徒歩3分に立地。奈良県庁など行政機関が集まるエリアに位置し、国の名勝「奈良公園」に程近く、世界遺産の「東大寺」「春日大社」「興福寺」「元興寺」も徒歩圏内であるほか、大阪や京都への交通アクセスも至便な場所にある。
客室は全室禁煙で、160cm幅のベッドを採用したクイーンベッドルームや3名で利用できるトリプルルーム、内装グレードを高めたデラックスツインルーム、隣り合う客室を繋げて最大4名が利用可能なコネクティングルームを設置するなど幅広いニーズに応えられる客室構成が特徴。ビジネス、国内レジャー、インバウンドなど幅広い宿泊需要を取り込んでいく。
9月22日に行われた開業式典で、グループ代表である元谷外志雄氏は、「新型コロナウイルスの影響でインバウンド需要もほとんどなくなっているが、日本は治安が良く、四季がある魅力的な国であり、コロナが収束すれば、観光産業が最大の成長産業として伸びていくと予測している。当社は今後も多くの開業を計画しており、コロナ収束を見据えさらなる拡大を図っていくなかで、奈良をはじめとする観光圏の需要も見込み日本の良さをアピールする一翼を担っていきたい」と期待を寄せている。