不動産トピックス

クローズアップ 終活編

2021.10.18 10:21

 老後や死後について家族間で相談する機会は少なく、子世代からすれば話題に出すこともはばかられる印象を持つ人も多いのではないか。しかし、未来のトラブルを未然に防ぐために、終活について話し合うことは非常に重要だ。

マサノリ石材 「お墓離れ」進む中、注目集める樹木葬 色鮮やかな花々に囲まれた人生の終着点
 人生のエンディングを迎えるにあたり、生前から行う様々な準備として「終活」という言葉が広く認知されるようになった。不動産業界における終活といえば、資産を次の世代へ承継するための相続対策を指すことが多い。そのほかにも不動産オーナーが取り組むべき終活は数多くある。例えばお墓選びである。
 近年、お墓の継承者不在が問題となっている。先祖への尊敬や感謝の気持ちを伝え、供養するために設けられるお墓は、その家の長男が継承者となって代々守ってきた。しかし、未婚率の増加や少子化などから継承者が不在となってしまう、いわゆる「お墓離れ」の傾向が強まっているという。少子高齢化が進む現代ではお墓を守る立場の親族が徐々に減り、残された親族の負担が増えることから、この「お墓離れ」の傾向は今後も続くものと予測される。そうした中、自然に還す葬送方式として注目を集めているのが樹木葬である。
 東京・東麻布の瑠璃光寺。敷地内の墓地の一角には、色鮮やかな草花をあしらった樹木葬の区画が設けられている。樹木葬は1本のシンボルツリーの周囲に遺骨を埋めるというのが一般的であるが、瑠璃光寺の樹木葬ではガーデニングを連想させる花々が咲き乱れる空間となっている。この樹木葬を手掛けたマサノリ石材(東京都港区)の代表取締役・柴田昌範氏は東京農業大学で造園科学科を専攻した経歴を持つ。「お墓のイメージを変えるような、新しいお墓の提案を目指しました」と同氏は話す。花は同社直営の生花店と連携し、季節に合わせた植栽が行われる。
 樹木葬は専用区画に墓石を設置するタイプ、専用のカロート(納骨室)で遺骨を合祀するタイプがあり、埋葬されてから32年間(33回忌に当たる)までお墓の維持管理が行われる。また、敷地内にはプレート型の墓碑を設置するタイプの樹木葬も用意されており、プレート型の墓碑には自身の氏名のほか生前の趣味などのイラスト、信条や格言といった文言を彫り込んでオリジナリティあふれるお墓をつくることが可能だ。
 同社取締役社長の柴田昌嗣氏は「生前に自分のお墓・寿陵(じゅりょう)を準備されることは、長寿につながり縁起がよいとされています。社会環境の変化に伴って、お墓に対する意識が大きく変化していく中で、当社は1825年の創業から180年余りにわたって積み重ねてきた実績と信頼をもとに、新しいお墓の形態である樹木葬を広く提案していく考えです」と述べている。

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 三井不動産リアルティ(東京都千代田区)は、不動産仲介事業「三井のリハウス」で、シニア世代の住まいに関する悩みを総合的にサポートするサービス「シニアデザイン」を展開している。
 総務省統計局の調べでは、総人口に占める65歳以上の高齢者の割合は年々増加し、2021年9月には29・1%と過去最高を記録した。三井不動産リアルティでも、2019年度に不動産を売却した個人の顧客のうち60歳以上の割合が50%と全体の半数を占めている。「老後の住みかえ先をどのように探したらよいかわからない」、「老後の資金に不安がある」といった相談も数多く寄せられているという。高まるシニア世代の顧客ニーズに対応すべく、2020年10月にシニア世代の住まいに特化する組織として「シニアデザイン室」を新設。新サービス「シニアデザイン」の開始に至った。
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