不動産トピックス

クローズアップ 連携アプリ編

2021.10.25 10:37

 テナント従業者や管理会社の利便性の向上という側面から、情報共有はビル経営において大切な要素の一つと考えられる。今回はアプリによる各種連携サービスを紹介する。

高層ビル向け連携アプリ「WORKER COMPASS」従業者への情報配信でビル利用促進や連絡共有に寄与
 グローバルキャスト(名古屋市中村区)は昨年8月より、オフィスタワービルや商業テナント施設からのお知らせや特典をテナント従業者へアプリを通して届ける事ができるスマートフォンアプリ・プラットフォーム「WORKER COMPASS(ワーカーコンパス)」を展開している。
 開発の経緯について、部門長の神谷和幸氏は「もともとは地方自治体や地域イベント情報などを地域の方々に配信するコミュニティアプリを提供しておりました。このアプリ配信システムを高層オフィスタワーの運営に生かすことができるのではないかと考え、当社の入居する高層ビル『グローバルゲート』のオーナー様に導入の相談をしたのが始まりです」と話す。
 WORKER COMPASSのアプリを通じ、テナント従業者は店舗のセール情報やクーポン、イベント情報等の配信を受け取ることができる。またグローバルゲートではWORKER COMPASSのアプリにテナント従業者が割引優待等を受けられる電子カード機能としても活用している。専用アプリから様々なサービスを受けられることで、オフィスビルに努めるワーカーの利便性向上に加え店舗の利用促進にもつながる。
 ビルごとに配信内容のカスタマイズができる点も魅力で、神谷氏は地域の活性にも寄与できるこのような使い方も提案する。「新築ビルを建設中の建設会社様より、『ランチ難民を救済したい』とのご要望から、テナント向けにビル周辺のランチマップを配信するサービスのご依頼を頂きました。ビル側とテナント側が両者ともにウィンウィンの関係になれることが、サービスの大きなメリットだと考えています」(神谷氏)。
 企業のリモートワーク化が進む昨今、ビルの内装や設備の工事のお知らせなどの連絡事項に関して、テナント従業者全体に周知することは難しいことが課題だ。WORKER COMPASSではビル側が共有したい情報をテナントに向けて配信する、連絡ツールのような使い方も期待される。
 「避難訓練の実施のお知らせや、喫煙所などのビルの共用部分の運用方法の変更といった連絡事項を、張り紙やポスティングで済ませてしまうオーナー様は少なくないと感じています。WORKER COMPASSのアプリにより共有事項をテナント従業者に直接配信することで、リモートワーカーがオフィスに戻ってきた際の働きやすさに寄与できると考えています」(同氏)
 WORKER COMPASSは現在、東京・名古屋・大阪の高層オフィスビルでも導入検討が進んでいるという。特に昨今はコロナ禍で集客に苦戦する店舗が多くみられる状況下。客付けにプレッシャーを感じるビルの管理者は少なくない。商業店舗の入居する高層オフィスビルの場合、外部からの客付けでは充足できないと考え、テナント従業者を呼び込むことで集客につなげたいというニーズもみられるようだ。情報共有と利用促進の両面の課題を解決できるサービスとして、ビルオーナーの強い味方となるだろう。

WealthPark 「WealthParkビジネス」が工事管理システムと連携
 WealthPark(東京都渋谷区)は先月、オーナーアプリ「WealthParkビジネス」の工事管理システムとのデータ連携機能提供を発表した。
 「WealthParkビジネス」は、毎月の収支情報や物件情報、入居者の情報等を、オーナーにアプリ・Webで共有することができる管理会社向けの業務支援システム。オーナー満足度の向上や管理業務の効率化などを図ることが可能。
 今回の連携で、管理会社は現在利用している工事管理システムが作成する定期巡回報告書や法令点検報告書、請求書、見積書等を手動でデータ入出力を行うことなく、不動産オーナーにリアルタイムに報告することが可能となる。更に、「WealthParkビジネス」のワークフロー機能を利用すれば、不動産オーナーとの電子受発注も可能となり、管理会社は現在の工事管理のプロセスを変えることなく、大幅な工数削減や、業務の抜けもれ防止などが期待できるとしている。




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