不動産トピックス

クローズアップ コンサルティング編

2021.11.22 10:34

 不動産事業は取得から物件の運営、管理、そしてその後の出口戦略まで、様々なフェーズで多岐にわたる知識やノウハウを必要とするビジネスだ。収益最大化や事業継続には、専門性の高いエキスパートの存在が欠かせない。

フェア・アンド・スクエア 顧客目線の不動産コンサルティング 開発から運営、相続・事業承継まで
 フェア・アンド・スクエア(東京都港区)の代表を務める岩田隆志氏は、不動産大手の三井不動産でのマンション開発や再開発などの事業に携わった後に不動産や金融に関するコンサルティング企業で企業が所有する不動産の活用や不動産ファンドのアセットマネジメント業などを行ってきた。この30年に渡る不動産事業経験を生かして2020年4月に独立してフェア・アンド・スクエアを設立した。
 「当社は不動産の投資から開発、運営に関するコンサルティングから、相続・事業承継に関するコンサルティングまで、不動産ビジネスの川上から川下まで総合的なサービスを提供しています。不動産ビジネスは事業領域が幅広く、かつ専門的な知識やノウハウが求められます。多くの不動産会社がクライアントの利益より自社の利益を優先している現状において、当社はオーナーの代理人として、公平公正な視点から不動産の資産価値向上や相続・事業承継をサポートします」(岩田氏)
 横浜・港北ニュータウンの玄関口である市営地下鉄「センター北」駅前には、岩田氏が前職時代に開発事業で関わった大規模複合商業施設「ノースポート・モール」がある。この施設と駅を結ぶ歩道橋は終日多くの買い物客や駅利用者が通行するが、この歩道橋の整備にあたり、同氏は途上に存在した未利用地の土地所有者に対して商業ビルの開発を提案した。「ノースポート・モール」の開発に際して歩道橋を整備する横浜市からは歩道橋のバリアフリー化について要請があったことから、館内エレベーターを歩道橋利用者でも自由に使用できるよう設置箇所を考慮。駅とノースポート・モールの動線上という特性を生かし、人流や集客面で商業施設との相乗効果を狙った商業ビル開発を土地所有者に提案し、公共施設のバリアフリー化と未利用地の有効活用を同時に実現化させた。
 同社ではこのような不動産の最適活用のコンサルティングサービスを展開するにあたり、専門知識を持つパートナーとともに不動産オーナーに対しての提案を行っている。相続・事業承継の領域では、企業税務や相続コンサルティングで豊富な実績を持つ益本正藏税理士率いる税理士法人総和(東京都港区)と連携し、クライアントとともに最適な相続・事業承継を推進する。岩田氏は「築年の古い不動産を所有されている方や一定規模の土地を所有されている方は、建替えや資産の入れ替え、相続・事業承継など、多くの課題に直面しています。これらの課題を不動産オーナーご自身で分析し、最適解を導き出すには限界があります。当社は不動産や金融、税務・法務と、それぞれの分野の専門家の知見を生かして、不動産オーナーご自身の想いを尊重しながら今後の事業戦略の実行をサポートいたします」と述べている。

東急リバブル 不動産投資サポート「PROPERTISTA」AIで業務効率化、担当者による個別コンサルを実施
 東急リバブル(東京都渋谷区)は、投資用区分マンションの売買を検討している顧客向けに、物件紹介や収益シミュレーションの提案や価格査定、売却提案など特定の顧客接点をデジタル化し、スピーディに高精度な情報を提供する新サービス「PROPERTISTA(プロパティスタ)」を提供している。
 同サービスは、物件購入希望者から問い合せが入ると、リアルタイムで周辺環境、エリア特性(賃貸需要や賃貸相場)、再開発情報、資金計画イメージなどの資料を自動作成し、問い合せから10分後には物件ごとにパーソナライズされた詳細ページのURLを顧客へ自動送付する。
 次に、マンションの管理状況、賃貸契約状況などのより詳細な物件情報や資金計画についての問い合せを自動的に受け付けた後、個別提案書(資金計画・長期運用シミュレーション)を自動作成し送付する。
 ここまでで物件と購入条件が合わなかった場合は、投資用区分マンションの専門組織で蓄積された実績とノウハウをベースに、NEC(東京都港区)の最先端AI技術群「NEC the WISE」を活用して開発したAIマッチングシステムによって、個々の購入希望者にパーソナライズされた物件情報を、定期的に自動配信する。
 同社によると、区分マンション投資に対するニーズは老後資金確保や資産形成、収入源の確保などを目的に注目され、伸びが続いているという。本システムの活用により、購入検討の顧客にはパーソナライズされた物件及び投資情報を、売却検討の顧客には適正で広範な視点に基づいた販売提案をスピーディに提供することで、安全で快適な投資機会の創出を実現していくとしている。
 また、不動産売買における初期段階の営業業務(物件選定や定期的な情報提供、価格査定や販売提案書作成など)を本システムでデジタル化することで、営業担当者の業務時間を年間約1万2500時間削減できると見込んでいる。営業担当者は個々の顧客との接点を増やし、一人ひとりの疑問や相談に対応する投資コンサルティングに注力していく姿勢だ。不動産投資に革新的な新サービスを展開し、CX向上と取引機会拡大による収益向上を目指すとしている。




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