不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2021.12.06 11:30

ナインアワーズ 睡眠解析サービスを開始
 カプセルホテル「ナインアワーズ」を全国13店舗、その他ホテル7店舗を運営しているナインアワーズ(東京都千代田区)は、ホテル開発・運営事業に加え、新たに睡眠解析事業を発足、サービスを開始する。
 昨年からのコロナウィルスの蔓延と、それに伴うリモート会議の浸透や大規模宴会の禁止などにより、都心ビジネスホテル・カプセルホテルの需要は今後大きく変化していくと言われている。同社は、都心のホテルが生き残っていくためには、「新しい価値」の提供が必要と考えたという。 
 創業当初より睡眠を重視してきた同社は、コロナ以前から医療関係者・エンジニアとともに睡眠研究を進めてきた。各種調査の結果でも睡眠不足と言われる都市生活者に対して、睡眠状態を科学的に測定し、自身の睡眠について深く理解できる施設に転換していくという。
 睡眠研究に関しては、「360度身体を囲まれた筒状のベッド」「世界最大の4000室運営管理」「すべて同形状のシングルルーム」という同社の強みに対して、多くの研究者や病院関係者が興味を持ち支援してきた。同社は今後、この強みをいかしてヘルステックサービスへの展開を加速していく考えだ。
 今回は睡眠解析事業の第一弾として、ナインアワーズ赤坂を「9h Akasaka sleep lab」として再開業し、睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」を開始する。
 「9h Akasaka sleep lab」は、睡眠解析サービスを行う日本初のウェルネス・カプセルホテル。睡眠状態を科学的に測定し、客観的なデータに基づいた分析レポートを提供することで、宿泊者の健康状態を可視化。日本発祥のカプセルユニットというユニークなプロダクトを通して、都市生活者の健康をサポートしていく。 
 また睡眠機能を進化させた新型カプセルベッド「9h sleep dock」の開発も行っており、来年を目途に新店舗に導入予定だ。
 「9h sleep fitscan (ナインアワーズ スリープ フィットスキャン)」とは、同社ホテルの宿泊者に対して、カプセルユニット内で睡眠状態を測定し、同社独自の指標で睡眠の質や呼吸状態などを判定するサービス。具体的には、宿泊者に承諾をもらったうえで、体動・いびき音・寝顔画像などを測定し、測定結果を睡眠レポートの形で送付する。360度体を包み込むカプセルユニットの特徴を活かした高機能なセンシングに基づいた分析を実現する。 
 同社のカプセルホテルは、ビジネスホテルなどの個室ホテルと異なり、他の宿泊者とベッドが隣り合う構造となっている。そのため周りの宿泊者のいびきや廊下の歩行者が気になるなど快適な睡眠の妨げとなってきた。同社の新型カプセルユニットは、カプセルを密閉し、「完全遮音」「温湿度管理」「クリーン換気」の実現を目指している。
 また、新型カプセル「9h sleep dock」には、睡眠解析サービス「9h sleep fitscan」での測定機能も内蔵されているという。

共立メンテナンス 広島県内2棟目をオープン
 全国にビジネスホテル「ドーミーイン」や、リゾートホテル「共立リゾート」を運営する共立メンテナンス(東京都千代田区)は、広島県広島市に「天然温泉 芸州(げいしゅう)の湯 ドーミーイン広島ANNEX」を11月10日よりオープンさせた。
 同ホテルは、国内主要都市の一つである広島県内で2棟目のオープンとなる。広島電鉄「銀山町」電停より徒歩約10分の立地にあり、観光地へもアクセスが良いことから、ビジネスや観光需要を期待している。
 建物は14階建て、客室はシングル15室、ダブル92室、クイーン18室、キング6室、ツイン26室、スーペリアツイン2室、ハンディキャップルーム2室、レジデンシャル5室の全166室。最上階14階には、男女別の天然温泉大浴場を完備しており、高温サウナ、水風呂、露天風呂を利用可能。朝食は、ご当地メニューの「穴子のちらし寿司」のほか、広島県産の牡蠣を使用した「牡蠣フライ」など約50品目のメニューを用意する。
 質の高い睡眠を提供するため、全客室にシモンズ社製ベッドを完備。リモートワークに適した全室専用Wi―Fiも完備する。夜食には、ドーミーイン名物のあっさり醤油ラーメン「夜鳴きそば」、風呂あがりにはアイスや乳酸菌飲料を無料で提供する。
 「ドーミーイン」とは、寮事業のノウハウから続く“我が家のような寛ぎ”と快適性を備えたビジネスホテルチェーン。「快適に、シンプルに、”住むホテル”」をコンセプトに、スタンダードなビジネスホテルや和風プレミアムブランド「御宿 野乃」などのブランドを展開。「ドーミーイン広島ANNEX」を含め国内85ヵ所、海外1ヵ所、計86ヵ所展開している。
 共立メンテナンスは1979年設立、企業の給食受託業務から事業をスタートさせた。その後、学生寮、社員寮を運営する「寮事業」、ビジネスホテル・リゾートホテルを運営する「ホテル事業」へと、事業領域を拡大させてきた。

グリーンズ 「コンフォートホテル名古屋 金山」開業
 グリーンズ(三重県四日市市)は10月14日、愛知県内8店舗目となる「コンフォートホテル名古屋金山」(名古屋市熱田区)を開業。同ホテルは愛知県で名古屋駅に次ぐターミナル駅で近年再開発が進む「金山」駅より徒歩約1分に位置し、名古屋駅や中部国際空港から乗り換えなしにアクセス可能。
 客室は全207室。名古屋の伝統工芸品である「有松絞り」と地域の障がい者施設様で一つ一つ手作りされた手織りのアートワークを設置するなど、同社がCSR活動の重点領域としている「環境配慮」「コミュニティ支援」「人づくり」「特長あるサービス」の各テーマに沿った新しい施策やサービスを導入。その取り組みを通じたSDGs(持続可能な開発目標)の実現に寄与していきたいという。
 無料朝食には「地産地消」メニューとして、愛知県産の赤味噌を使用した同ホテルオリジナルメニュー「赤だしチーズリゾット」を提供する。
 同社は、40ヵ国以上7000軒以上のホテルチェーンのグローバルブランドを擁し、「コンフォートホテル」「コンフォートイン」「コンフォートスイーツ」を全国展開する「チョイスホテルズ事業」と、60年以上のホテル運営の実績を持ち地域特性を活かしたサービスを展開する「グリーンズホテルズ事業」とのシナジーで、中間料金帯ホテルチェーンで全国展開している。

ウェルス・マネジメントグループ 「Six Senses」ブランドを京都に
 ウェルス・マネジメントグループ(東京都港区)がサムティ(大阪府大阪市)と共同出資、開発するホテルプロジェクト「シックスセンシズ 京都」では、京都市東山区の地でサスティナビリティと自然環境・地域社会との共生を理念とするワールドワイドラグジュアリーホテルブランド「Six Senses」で計画する。完成すると、「Six Senses」ブランドとして日本初上陸のホテルとなる。 
 「シックスセンシズは、世界有数の絶好のロケーションに位置し、90年代前半の創業以来、自然派ラグジュアリーリゾートの先駆者として名を馳せてきた。このブランドは、世界的なホテルチェーンのIHG Japan Management(インターコンチネンタル・ホテルズ・グループ)が展開する高級ホテルブランド。
 特にシックスセンシズにおけるスパは、非日常感に溢れた先駆的なホリスティックウェルネス、リジュベネーション、ビューティートリートメントのサービスを完備し、ウェルネスのための階層的なアプローチを提供している。
 「シックスセンシズ京都」は、IHG Japan Managementの日本国内におけるラグジュアリークラスの最高峰に位置づけされるホテル。近年、国内外のホテルチェーンが注目し、多数進出する東山エリアに所在しており、周辺には妙法院や豊国神社、三十三間堂、京都国立博物館などがある。
 同計画のホテルの客室面積は42㎡~231㎡で、2つのレストラン、3つのバー、スパ、ジム、トリートメントルーム、プールや複数の庭を擁する。外観・空間デザインは、世界有数のラグジュアリーホテルの実績を数多く持つデザイン事務所BLINK Design Group が手掛けている。

ビスタホテルマネジメント 山佐グループの元で再スタート
 ビスタホテルマネジメント(東京都千代田区)は、2021年11月11日をもって、同社が同年3月11日に東京地方裁判所へ申立てを行った民事再生手続きが終結したことを発表した。
 同社は、2021年3月18日に民事再生手続きの開始決定を受けた後、同年9月に山佐(岡山県新見市)の完全子会社となり、民事再生手続きを進めてきた。
 ビスタホテルグループは、2005年にホテル運営受託事業を開始し、現在、北は北海道・札幌から南は九州・熊本まで、「ホテルビスタ」「ホテルビスタプレミオ」のブランドで計15の宿泊主体型ホテルを営業している。
 同ホテルの特徴は、バスルームとトイレ、洗面台がそれぞれ別に設置されていること。2006年の「ホテルビスタ札幌[中島公園]」の開業を皮切りに、札幌[大通]、東京[築地]などで全室、大浴場付きの仙台、金沢、福岡は一部客室で、3点独立型水廻りを実現。加えてホテルデザインに地域の文化や伝統工芸の要素を取り入れ、朝食には地元ならではメニューや食材を活用するなど、チェーンホテルでありながら、個性を持ったホテル作りを行ってきた。

リブ・マックス ペット同伴プラン
 リブ・マックス(東京都港区)はホテル事業にて、小旅行や出張の際に活用できる安価な価格で愛犬との同伴宿泊が可能な「Dog×Stay」プランの提供を開始した。
 都市型のビジネスホテルではペットと一緒に泊まれるプランは殆どなかった。しかし、「ペットホテルに預けておくのは心配」「ちょっとした旅行でもペットと一緒に楽しみたい」「ペットの利用可能なホテルの中でも安い料金で宿泊したい」など宿泊者からの要望が多かったため、今回のプラン販売となったもの。 
 全国12ホテルを対象に先行して既に展開しているが、好評のため、11月下旬~12月初旬にかけて全国で随時エリア増大する。




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