不動産トピックス
今週の一冊
2021.12.06 11:16
空き家・空き地・空き店舗の課題は
建築系のためのまちづくり入門 ファシリテーション・不動産の知識とノウハウ
編者:JCAABE 日本建築まちづくり適正支援機構
著者:連健夫他19名
発行日:2021年9月25日
発行所:学芸出版社
価格:2600円(税別)
「まちづくり」は一筋縄でいかない。「空き家空き地が増え、新築需要が減り、建築士・建築家のフィールドが変化していること、高度成長社会から低成長社会に移行し、都市は拡大するのではなくスポンジ化のなかでのまちづくりとなる」(おわりに)というが、一体日本の「まち」はどこを目指せばいいのか。少子高齢化、感染症対策、コンパクトシティ、外国人移民受入れ、ウッドショック、SDGs、ネガティブなキーワードが浮かんでくる。空き家空き地のほか、「空き店舗」問題も近年では悩ましい課題だ。本書はまちづくり学科教授、環境学部教授などの学者、まちづくりにかかる企業経営者ら20名による実践書。「まちづくり現場における建築士の多様な役割」、「エリアマネジメントにつながる建築と不動産の基礎知識」、「“負”動産の新陳代謝を促す空き家マッチング術」、「本音を引き出すコミュニケーション・ファシリテーション術」など角度を変えた視点からそれぞれの専門家が説く「まちづくり」は読みごたえがある。巻末漫画に描かれる活気のない街は今の日本そのままの姿だが、本書の助けを借りて大いに活気のあるまちづくりが日本各所で生まれることを願う。