不動産トピックス

今週の一冊

2021.12.27 10:50

設計者の生の声を知る

都市建築TOKYO 超高層のあけぼのから都市再生前夜まで
編著:都市建築TOKYO編集委員会
発行日:2021年9月1日
発行所:鹿島出版会
価格:2700円(税別)

 日本初の超高層ビル「霞が関ビルディング」プロジェクト参加メンバーが中心となり編纂した「東京の都市史」である。「都市計画や実務者の生の声がこれほど多く収められた本は異色であろう」(まえがき)。
 竣工後半世紀以上を経たビルは今なお数多く現役であるが、その間に都市の様相は大きく変わった。抱える課題も変わり街づくりの方向性も変わり、何より人々の意識が大きく変わったのではないだろうか。
 首都高速を「日本近代化 の都会の象徴」と誇らしく思っていた時代はとうに過ぎ、今では環境問題や美観が重視され、地下化が叫ばれている。「都市再生」の時代なのだ。
 都市建築を「考える」、「振り返る」、「語る」の3部構成とし、高層化・複合化・不燃化の進む社会背景、江戸期・大正期・高度経済成長期の都市づくりと諸制度、品川インターシティや新宿アイランド、汐留シオサイトといった事例からプレイヤーたちの視点を解説。 設計者の思想や地域貢献など様々な面からも深い考察がなされている。巻末の資料編「都市建築の集積過程」では年代ごとの容積率の変化などが地図で表現されている。座談会は今後への貴重な視点が多数盛り込まれている。年末年始に熟読したい一冊。




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