不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2022.01.06 14:00
会員制リゾート施設運営大手が業域を拡大 リロバケーションズがグループ会社WROを合併
生活総合支援サービスを展開する東証一部上場企業のリログループ(東京都新宿区)の傘下会社であるリロバケーションズ(同)は、会員数2万人以上を抱える会員制リゾート施設運営会社だ。同社は昨年10月にグループ再編として、旅館運営を手掛けるワールドリゾートオペレーション(WRO)を吸収合併、新体制でのスタートを切った。アフターコロナに向けた事業拡大を狙う。
事業戦略を一本化 再生事業と相乗効果
今回の合併は、全国にネットワークを持つリロバケーションズの会員制リゾート運営事業と、旧WROの持つ再生事業との相乗効果を狙ったもの。もともと旧WROの田村佳克社長はリロバケーションズの社長を兼任していたこともあり、両社の事業戦略を一本化することで、「互いに培ってきたリソースを最大限に生かしていきたい」という。
旧WROは2009年設立。経営の厳しいホテル・旅館の再生案件や売却案件に対し、グループ力を生かした再生ビジネスを手掛けてきた。
企業や健保組合にとって負担になっている保養所などを得意としているが、既存の旅館の再生も手掛け、多くは客室が50室前後と比較的小規模なものが多く、他社が手掛けない施設が多いのが特徴だ。
土地建物の取得はもちろん、「支配人派遣」「保証」といったコンサルティングから、「予約業務代行」「自社サイト集客拡大プログラム」「リノベーション・ブランド提案・支援」など、オーナーの意向に合わせた再生メニューを用意、90日間での黒字化を目指した様々な支援を行ってきた。現在、全国でリゾートホテル、旅館を運営・運営代行をしている。
一方、リロバケーションズは2004年設立。リログループの観光事業セグメントの中核会社で、全国のリゾート施設と提携し、ポイント制による会員向け施設を提供している。
「コロナ禍で働き方が大きく変わり、リゾート施設で仕事も行うワーケーションなる言葉も浸透してきました。宿泊業界が苦戦している中、会員は順調に推移していますし、ワーケーション利用の方も増えてきており、むしろコロナ禍で強みを発揮したといえます」(田村社長)。
会員は40代以上の比較的高所得者が多く、ワーケーションの普及と相まって、緊急事態宣言後はアップグレード商品を中心に安定した稼働率を維持しているという。
実際、リログループの2022年3月期第2四半期の決算によれば、リロバケーションズが属する「観光事業」セグメントでは、売上収益が前年同期比20・3%増の44億200万円、営業利益が同期比5億円増の1億8700万円と堅調に推移している。
本部機能を集約 施設内の有効活用
両社の統合により、具体的には、予約業務などの本部機能の集約化、2万人にも及ぶ会員からの集客などを進めていく。
既に合併による新たな取り組みが形になっている。例えばWROが運営している那須塩原の一部を買い取り、会員向けに優先的に提供を開始するなど、様々な利用目的に対応できる「ホテル内での有効活用」(田村社長)を進めているという。
同社の強みは会員という強固なストックビジネスモデルだ。今回のWROが運営する施設が加わることによって、これまでリロバケーションズがカバーできなかったエリアや高級旅館が加わり会員の選択肢が広がる。旧WROに業務委託している施設にとっても、集客力が高まり、経営の安定化が期待できる。同社はこの強みを生かし、今後は会員数の拡大を積極的に行っていく計画だ。
「合併を機にポートポートフォーリオを組み直し、3年をかけて構造改革を進めていきたい。現在、年間の会費によるストック収入は約37%ですが、これを50%までに高めていきたい」(田村社長)。
「FAV HOTEL」ブランド3店目 霞ヶ関キャピタルが熊本に開業
霞ヶ関キャピタル(東京都千代田区)はこの度、同社がホテル事業に係るアセットマネジメント業務を受託しているホテル開発プロジェクトについて、「FAV HOTEL KUMAMOTO」(熊本県熊本市)を開業させた。
「FAV HOTEL」ブランドは、“Family, Friends, Freedom”の3つのFをテーマにした洗練された空間をリーズナブルに楽しめるグループステイ向けのホテル。有名観光地だけではないその土地に根ざした魅力を感じてもらえるよう、ホテルを起点にした街歩きや、新鮮な体験を楽しんでもらえる新たな旅の形を提案するホテルとして、2020年10月、岐阜県高山市に1施設目をオープンさせた。
3施設目となる「FAV HOTEL KUMAMOTO」は初めて九州エリアにオープンする。木目を基調とした35m2前後の広々とした空間をリーズナブルに楽しめるという「FAV HOTEL」の特徴はそのままに、観光地から離れた場所で、濃密な時間を過ごす“ノーミツステイ”を提供する。
家族や友達、気の置けない仲間たちとのホテルステイを楽しめるよう、スタイリッシュかつカジュアルな空間作りを目指した。テラスのあるカフェが併設された開放感のあるロビーは、カフェタイムやビジネスワーク、読書などで活用することができる。
自宅以上にくつろげて、手の届きそうな非日常を提供する“HOTEL Like HOME”なホテルを目指し、大人数での宿泊でも窮屈さを感じさせない快適な空間を用意した。全体を木目調でシックにまとめながら、水回りはダークカラーで整え、家具のファブリックに柄を入れている。また、グループステイが可能な2段ベッドが特徴となっており、各部屋にはキッチン、洗濯機、冷蔵庫、カードキー等が不要な暗証番号式の客室ロックを完備している。
ベネクス 「レンブランドホテル厚木」と協業 ”休養”テーマにプラン提供
休養時専用の「リカバリーウェア」を開発・製造しているベネクス(神奈川県厚木市)は、レンブラントホテル厚木(同)と、地元・神奈川県厚木市の社会人サッカークラブ、はやぶさイレブンと“休養”をテーマにした取り組みを開始した。
べネクスは、館内に「厚木リカバリーサロン」を併設し、客室の寝具にこだわりを持つなど、以前より神奈川県の未病改善の取り組みを実施しているレンブラントホテル厚木と連携し、神奈川県ME―BYO BRAND認定の同社商品「ベネクスリカバリーウェア」を試着体験できるタイアップ宿泊プランを販売する。また「リカバリーウェア」を通して選手の「休養」をサポートし、神奈川県社会人リーグ1部昇格の目標達成、さらにJリーグ参入を目指すクラブを支援する。
レンブラントホテル厚木が販売するプランは、「休養」と「未病改善」を目的としたもの。「リカバリーウェア」試着体験を含めた癒し体験を提供する。
同ホテルは、客室全164室に上質な眠りと心地よい目覚めをサポートするシモンズ社製ベッドを導入し、2021年8月には「厚木ナチュラル整骨院/厚木リカバリーサロン」を館内にオープンするなど、日頃の疲れをリフレッシュできるようなプランやサービスの提供に注力している。
ソラーレ 「ロワジールホテル 品川シーサイド」12月にオープン
ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)では、12月1日に「ロワジールホテル 品川シーサイド」(東京都品川区)を開業させた。
同ホテルは、りんかい線「品川シーサイド」駅より徒歩2分に位置、ビジネスや観光の拠点としての需要を見込む。地上22階(16階フロント、17階~22階客室)、客室は300室、朝食会場、ラウンジ、会議室、宴会場を併設する。
シーサイドの客室では、東京湾からのぼる朝日や港湾エリアの夜景など、時間とともに移り変わる景色を楽しめる。ベッドは、全室シモンズ社製を採用した。
同社は「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ロワジール」「ロイヤルパインズホテル浦和」「チサン」など14のホテルブランドを有し、国内56カ所、海外1カ所、8136室のホテル宿泊部門および売店部門・料飲部門・大浴場・スパの運営、アセットマネジメント、フランチャイズ運営などの事業を展開している。
アパホテル 「非接触」オペレーション推進
アパホテル(東京都港区)では、同ホテルの直営、FCの全店でホテル利用時の「予約」、「チェックイン」、「チェックアウト」の一連の手続きをそれぞれ1秒で可能にする、「アパトリプルワンシステム」を本格始動させた。「非接触」、「待たない」、「並ばない」を実現したストレスフリーのオリジナルデジタルサービスにより、宿泊客には「並ばない」安心感を提供していきたいという。
同ホテルの公式サイトのアプリ版である「アパアプリ」を活用することによって、アプリからの予約、チェックイン、エクスプレスチェックアウトポストのチェックアウト、いずれも1秒で可能になる。
予約は、アプリの限定サービスでお気に入りホテルを登録すると1つのフォーマットで画面遷移することなく 予約を完了することができる。1秒チェックインとは、アプリで事前にオンライン決済し、前日15時からの部屋選択を完了する、アプリチェックインを済ませておくと、当日は専用機にQRコードをかざしてから1秒でルームキーの発行を完了することができる。専用機は、画面操作が一切不要で非接触に対応している。
このシステムを導入するにあたり、新たに日本NCRビジネスソリューションと新型専用機を共同開発した。
同社は今後もトリプルワンを軸に「進化するアパホテル」として利用客に支持されるサービスを順次導入していきたいという。