不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.02.07 10:39

湘南レーベル 「8HOTEL」ブランドでFC展開をスタート 4年後委は全国20店舗目指す
 神奈川県湘南地区に「8HOTEL」「3S HOTEL」など、コンセプトに合わせ、主要顧客を絞り込んだホテルを6店舗展開している湘南レーベル(神奈川県藤沢市)では、「8HOTEL」ブランドのフランチャイズチェーン事業をスタートさせる。これまで培ったノウハウを基に本格的にブランド力を強化、全国展開を目指す。同社は2007年の創業以来、様々な不動産活用法を提案してきたが、中でもホテル事業は今後の成長戦略に位置付けている。
本格サウナ設置 SNS発信で集客
 同社のフラッグシップ店舗である「8HOTEL CHIGASAKI」をモデルに全国へ拡大させていく計画だ。藤原大和社長によれば、「今後年間5店舗、4年後には20店舗にまで拡大させていきたい」という。  同ホテルは、全36室と小規模ながらも、観光やビジネス利用者に「非日常的な時間を提供する」をコンセプトにしたホテルだ。
 エントランスにはヤシの木を配置し、4階建ての白い建物に囲まれたプール、そこを中心にエントランス・ラウンジ・サウナが配置された造りは海外のビーチリゾートを意識した。
 大きな特徴は、男女共用で使用できる愛好者専用ブランドTTNE incプロデュースの本格サウナを配置していること。サウナ好きの若者層を中心に、ターゲット層を絞り込むことで、周辺の施設にはないオリジナリティーを前面に打ち出した。
 同社はこのホテルを「SNS発信型ホテル」と位置付け、集客力を高めた。現在、同ホテルのインスタグラムのフォロワーは1万4000人にも及ぶという。
 「特にサウナ愛好家、通称サウナーと呼ばれる方々がこぞって、SNSで宿泊体験を発信していただき、ほとんどの方が当ホテルに泊まりに茅ケ崎まで訪れていただいています」(藤原社長)。
 「8HOTEL CHIGASAKI」を「目的型運営」の成功例としてFC加盟募集の基本モデルにする。
 「目的来店型運営」について藤原社長が指摘するのは、顧客ターゲットを明確化した「安定集客」、OTAからの脱却による「運営費用削減」、宿泊以外の売り上げ確保する「付帯販売収益」だ。
 「茅ケ崎では、20~30代の女性で、SNSに敏感、海外旅行好きの方にフォーカスしました。自社サイトの予約シェア率は、通常のホテルは20%程度ですが、50%と非常に高くなっています。また、当ブランドではオリジナルグッズを販売していますが、これが施設内飲食と併せて、売上全体の12%にのぼっています」(藤原社長)。

リニューアル費用500万円から
 参画するホテルに対しては、「当社本部がSNSを中心に集客代行を行い安定集客を目指します。またオリジナルアメニティの一括購入などで運営費用の削減も支援していきます」(藤原社長)という。
 リニューアル費用は、ブランドコントロールためのサイン・デザイン料として約500万円。オプションとして、同ブランドの特徴の一つであるサウナやプールなども費用に応じて設置することが可能だ。初期加盟費用は1室あたり5万円、年間ロイヤリティは稼働室数に応じて3%。
 同社はブランド力を維持させていくために、大都市圏から1・5時間以内の立地で、ハイ・オフシーズンの落差が大きく、ビーチタウンにあり文化情緒があるエリアのホテルを主なターゲットにする。同ブランドの選定条件に合わないホテルも出てくるが、「こうしたホテルに関しては、運営コンサルティングやリノベーション時のディレクション、賃貸借契約による運営、場合によっては他のホテルチェーンへのご紹介もしていきます」(藤原社長)。

ルートインジャパン×カミナシ 現場改善プラットフォームを導入
 ルートインジャパン(東京都品川区)では、同社が運営するホテルや飲食など約360施設に対し、カミナシ(東京都千代田区)が提供する現場改善プラットフォーム「カミナシ」を導入した。
 新型コロナウィルスの影響を受けながらも、2025年までに事業計画500店舗の達成を目指すルートインジャパンでは、現場業務のデジタル化による業務効率化が喫緊の課題となっていた。それらを背景に、「カミナシ」の導入を決定。2021年11月より導入プロジェクトを開始し、現在、2022年4月の全施設への導入を目指している。
 「地区の責任者による店舗巡回チェック」「飲食施設におけるHACCPなどの衛生管理」の活用を当面行う。これまで管理業務は紙による管理が主体となっており、グループ全体で年間約30万枚の紙の帳票が発生していたという。同時に保管や過去データの検索といった管理作業にも膨大な時間を要していた。同社では、カミナシ導入以前から生産性向上を目的とした現場DXに取り組んでおり、先行して労務申請や稟議申請、捺印申請などはペーパーレス化を実現。今回、「カミナシ」を導入することで、さらに加速させ、紙の帳票類の削減とともにホテル全体の生産性向上に取り組んでいく。 
 2月より本運用を開始し、4月には全店舗への導入を予定している。以降、大浴場等の設備点検や客室清掃の報告書など「カミナシ」の活用範囲を広げ、約14万枚の紙帳票の削減を見込んでいる。これらのデジタル化をきっかけに、現場や施設状況の可視化を実現し、現場DXをより推進していく方針だ。
 「カミナシ」は、作業チェックなど現場の業務フローをノーコードでデジタル化する現場改善プラットフォーム。手書き情報のデータ化から集計、報告など、これまで紙やエクセルで行っていた作業をノーコードでアプリにすることで、現場での正しい作業ナビゲーションの徹底やチェックデータのリアルタイムな一元管理を実現する。利用料金は月額6万円から。

カンデオHM 新チェックインプラン販売
 カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(東京都港区)では、多様な利用法を提案している。同社ではこのほど、通常15時のチェックイン時間を大幅に早め、9時にチェックイン可能となる「スーパーアーリーチェックインプラン」と、通常11時までのチェックアウト時間を大幅に延長し18時まで滞在可能になる「スーパーレイトチェックアウトプラン」を、8施設で販売を開始した。
 新型コロナウイルスの感染拡大により、「遠出はしづらいが、自宅以外の場所で非日常を味わいたい」と考える人々の間で、ホテルに籠って思い思いの時間を過ごす「おこもりステイ」のニーズが増加している。また、ホテルでのテレワーク需要が増えていることからホテルステイの様々なニーズに応え、より自由に過ごしてもらえるよう、今回のプラン組成となったもの。
 「スーパーアーリーチェックインプラン」は、出張先や旅先で朝から活動できるため、仕事や観光に加え、カンデオホテルズ最上階にあるスカイスパ・サウナなどを1日かけて利用することが可能。「スーパーレイトチェックアウトプラン」は、夜遅くまでの仕事や観光で疲れた体をスカイスパ・サウナで癒し、シモンズ製ベッドや、小上がりソファで翌日の18時までゆっくりくつろぎながら過ごすことができる。

サービスアパートメントオークウッドが麻布に
 世界13カ国でサービスアパートメントを運営するOakwood(オークウッド 本社・シンガポール)は、「今」と「昔」の情緒が融合した国際色が豊かなエリア麻布に、国内では13軒目となる「オークウッドホテル&アパートメンツ麻布」を(東京都港区)オープンさせた。同物件は、三井不動産レジデンシャル(東京都中央区)が開発する初のホテルライセンス型サービスアパートメントとなる。
 東京タワーや六本木にも徒歩圏内で、ビジネス地区にも隣接と、観光とビジネスに至便な立地。三井デザインテック社がデザインを手掛けるパブリックエリアの内装は、麻布と縁ある要素を採り入れ、「AZABU INSPIRATION―移ろいゆく麻布―」をテーマに、麻布の「四季の移ろい」をシーン別に表現したアート作品を館内に配置する。中でもエントランスを入った正面一面に配された大絵巻は、日本古来の伝統とストリートカルチャーを融合した作品で世界でも注目のデザイナーBAKIBAKI氏が手掛けたもの。
 各階のエレベーターホールには、麻布界隈の「春夏秋冬」を体現したアート作品を展示。
 全171室の客室は、木のぬくもりを感じられるエレガントな家具を配し、スタイリッシュでコンテンポラリーなデザインが調和した“自宅のように”寛げる空間とした。全室にはIHコンロ、冷蔵庫、電子レンジ、炊飯器、調理器具と食器が完備されたフルキッチン、洗濯乾燥機、高品質ベッド、空気清浄機、55インチのスマートテレビ、無料Wi―Fiと最新設備を完備した。客室タイプは、スタジオから1ベッドルーム、2ベッドルーム、3ベッドルームまでの4種類を用意。畳を取り入れた「和洋室タイプ」もあり、単身での出張やカップルでの利用はもちろん、家族や友人とのグループ旅行など、利用客の多様な要望に対応する。
 SDGsの達成に向けた取り組みとして、ミネラルウォーターはリサイクル可能なアルミ缶を採用。ボールペンは軸の周りを再生紙でくるんだペーパーボールペン、制作物には非木材である竹パルプを配合した環境に優しいファインペーパー竹はだ等を使用し、インクも環境への影響が少ない原料を使ったインクを採用している。

あめつちデザイン 体験型ECサービス拡大
 顧客体験デザインとデジタル技術を用いて地方創生を推進する、あめつちデザイン(東京都千代田区)は、体験ECプラットフォーム「cocodake」のスマートフォン対応版をリリースした。
 直後から長野・飛騨高山エリアの宿泊施設など、全国各地に導入を拡大しているという。これまでは、専用タブレットを用いる前提で宿泊施設にサービスを提供してきたが、スマートフォンからでもタブレットと同様のコンテンツが利用可能となった。スマートフォンでQRコードを読み取り、様々なコンテンツを利用できるようリニューアルしたもの。
 cocodakeは、旅行者・宿泊施設・地域がつながるツーリズムイノベーションサービス。施設や地域案内をデータ化し、最新の情報を宿泊者に提供する。同時に感染症対策や業務効率化にも期待できるという。




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