不動産トピックス

クローズアップ リノベーション編

2022.02.28 10:29

 内装の傷みや機能性の陳腐化は賃貸物件にとって致命傷であり、例え年月の積み重ねを生かしたリノベーションでも満室稼働は難しい。デザイン性に加えて、利用者の快適性や実用性にも配慮したリモデルがこれからは必要のようだ。

ノットコーポレーション 既存ビルのリモデルでリーシング強化 昭和の雰囲気からスタイリッシュな内装に
 ビルの外観・エントランスや共用部のリモデル(再構築)提案を行っているノットコーポレーション(大阪市中央区)は、ワキタ(大阪市西区)が札幌市北区に所有する賃貸ビル「ノルテプラザ」のリモデル工事を行った。
 今回リモデル工事を実施したのは1階エントランス外部および内部、2階から6階の共用廊下およびトイレ・給湯室。工事は昨年6月中旬から8月上旬まで、2カ月弱の期間で実施された。JR「札幌」駅より徒歩8分という好立地の同ビル周辺では、北海道新幹線の札幌延伸や2030年の札幌冬季オリンピック・パラリンピックの招致を見据え、各所で既存建物の建替え・再開発が実施されている。一方、1993年竣工の同ビルは一部に建築当時のデザインが残されており、賃貸ビルとしての競争力低下が懸念されていた。保有する賃貸不動産の収益化を目指すワキタでは、「ノルテプラザ」の新規取得に伴い、リーシング強化を目的に共用部のリモデルをノットコーポレーションに依頼。同社取締役の神谷奈緒美氏は緑が豊富な札幌都心の地域性に合わせ、「アーバン&ナチュラル」をキーワードにしたリモデル提案を行い、「スタイリッシュでありながら、親しみやすい温かさを表現することを今回のリモデル工事のテーマにしました」と話す。
 共用廊下の一部分にアクセントとして木目柄を採用したDボードを施工し落ち着きのある空間を演出。床は通行者が動線を自然と意識できるようタイルカーペットをラインで貼り分けし、ソーシャルディスタンス確保への配慮にも取り組んでいる。神谷氏は「Dボードを採用することで、低コスト・短工期で既存の壁面イメージを大幅に変えることができます」と話す。また、この年代のビル1階に多く存在し、現在は使われなくなった「公衆電話スペース」を、来館者や入居テナントが気軽に利用することのできる「マルチワークブース」へとリニューアルもしている。元の形状はそのままに、デザインのアクセントとしてクロスや一部の床の色味を変更し、サインを設置することで従来の用途から大きくイメージチェンジすることに成功した。
 今回は建物利用者へのサービスや地域貢献の観点から、1階の貸室の一部に共用の喫煙室を設置する工事も行った。デザイン性を高めるだけでなく、利用者の快適性や実用性にも配慮したリモデルを企画することで、施主が目標とするリーシング強化へとつなげているようだ。リモデル後は3テナントの入居もすぐに決まり、現在は満室可動となっている。

アールプランナー AI査定活用した中古流通業
 戸建住宅を中心とした住宅プラットフォーム事業を展開するアールプランナー(名古屋市東区)は21日から、AI査定を活用した中古流通事業「renotech(リノテック)」を開始した。
 renotechは、グループ会社のアールプランナー不動産が抱える名古屋市内の中古マンションを中心に、エリア、価格帯、間取り、築年数などの希望条件で絞り込み検索が可能。毎月の支払いに合わせたプランもシミュレーションでき、AI査定によってマンション名や部屋番号等の必要情報を入力するだけで査定価格も確認可能だ。renotechのリノベーション事例も確認できる。




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