不動産トピックス

今週の一冊

2022.03.07 18:07

海面水位上昇の未来は

地図から消える土地 気候変動で激変する地球
著者:クリスティーナ・コンクリン、マリーナ・プサロス
訳者:佐々木 草子
発行日:2022年1月30日
発行所:扶桑社
価格:2900円(税別)

 地球の自然環境が危機的状況にあることは多くの方が断片的にも知っているだろう。SDGsを意識した取り組みが盛り上がりを見せている。
 本書では気候危機の打撃を受けている20カ所の地域を取り上げ、何が失われ、なぜ変化し、このままでは何が起きるかが語られている。著者たちはそれぞれ各地を訪ね気候危機への公共政策や生活を脅かされている人々の胸の内を調査した。4部構成の第1部「変化する化学的性質」ではプラスチックだらけのハワイ・クレ環礁、第2部「強まり続けるストーム」ではハリケーンによって工場から汚染物質が流出するヒューストンを、第3部「上昇する海水温」ではケニア・キシテの崩壊するサンゴ礁を、第4部「上昇する海面水位」では湿地帯に高層ビルが3000棟あまり建設、沈泥の地盤を変形させるほどの負荷がかかっている上海を、ほか我が国の事例もある。伊勢市を引き合いに「神道が自然に対して畏敬の念を抱くほどには、日本の社会にその精神は反映されていない」と、日本人の環境危機への無関心さを嘆く。各章の最後には海面水位上昇が厳しい値で進んだ場合の「2050年の未来」が描かれている。ぜひご一読。




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