不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2022.07.04 10:50

ポラリス・ホールディングス 「KOKO HOTEL Residence」ブランド 長期滞在向けに
 ポラリス・ホールディングス(東京都千代田区)の連結子会社のフィーノホテルズは、新たにホテル運営委託契約を締結し、同社グループのブランド「KOKO HOTEL(ココホテル)」にて、東京・浅草エリアに所在する「KOKO HOTEL Residence 浅草かっぱ橋」、「KOKO HOTEL Residence 浅草田原町」(いずれも東京都台東区)のホテル運営を開始。同時に同ホテル運営に係る利益獲得を強固にする。ホテル運営委託契約に加え、同社のスポンサーグループであるスターアジアグループに属する企業との間で売上保証契約を締結した。
 同社グループでは、運営プラットフォームの拡大を成長戦略の1つとして掲げている。その中で損益分岐点の引き下げに寄与するフィー収入型のホテル運営委託契約に基づく運営ホテルの増加に注力。今回、同ホテル運営委託契約に基づき運営を開始する同ホテルを加えると、グループの運営ホテル数は合計31棟、5682室となる。
 両ホテルが位置する東京・浅草エリアは、浅草寺をはじめとした日本情緒あふれる文化や建築物と近代的な街並みとが融合する知名度の高いエリアであり、特にここ数年は国内旅行客のみならず訪日外国人旅行客に非常に人気があるエリア。
 「KOKO HOTEL Residence 浅草かっぱ橋」は訪日外国人旅行客にも人気のかっぱ橋道具街に所在しており、「KOKO HOTEL Residence 浅草田原町」は東京メトロ銀座線の田原町駅から徒歩1分に位置する。
 今回、両ホテルの新規受託に際し、「KOKO HOTEL」ブランドの中で初の「KOKO HOTEL Residence」ブランドを立ち上げ、ファミリーやグループ、長期滞在利用者をメインターゲットにする。1室に4~6名宿泊可能な客室スペースに加え、ミニキッチン、冷蔵庫、洗濯乾燥機、食器類やダイニングテーブル等を備え、長期滞在に適した客室及び設備を有する。
 両ホテルは今後、回帰が見込まれる訪日外国人旅行客を含む、特にファミリーやグループ等の宿泊需要に適しており、同社グループの持続的な利益成長の実現に寄与することを期待している。
   フィーノホテルズは、未だに新型コロナウイルス感染症の感染拡大が、ホテル運営に与える影響が大きい状況の中で、両件ホテルのホテル運営を受託するに当たり、ホテル運営に係る損失を回避し運営委託報酬を確保する。ホテル運営に係る利益獲得を強固なものにするため、スターアジアグループに属するする企業との間で売上保証契約を締結している。
 同社グループでは今春、連結子会社であるココホテルズ及びフィーノホテルズで、「KOKO HOTEL(ココホテル)」ブランドとして6店舗のホテル運営を開始スタートさせている。
 同ブランドの物件ポートフォリオは、東京、大阪、名古屋といった大都市圏はじめ、金沢、熊本、神戸といった地方の主要都市の中心部に所在する。出張需要に加え観光需要の取り込みに有利な、宿泊ゲストから見た利便性が高い好立地に所在し、高い競争力を有している。

IHGホテルズ&リゾーツ 「voco」日本に初上陸
 IHGホテルズ&リゾーツ(日本・東京都港区)では、NTT都市開発及びUDホスピタリティマネジメントと運営受託契約を締結し、2023年に「voco大阪セントラル」を開業させる。これにより、日本に初めて「voco」ブランドのホテルが誕生することとなる。
 同ブランドは、2018年の誕生以来、世界で35軒のホテルを展開しており、「voco大阪セントラル」は、世界で75軒目となる。IHGはこの数年、「キンプトン」、「リージェント」、「ホリデイ・インエクスプレス」などのブランドを日本市場に投入しているが、IHGのプレミアム・コレクションのライフスタイルホテルブランドとして「voco」が加わることになった。 
 ラテン語で「招待する」「呼び集める」という意味を持つvocoという名称は、友人を自宅に招いておもてなしするような、気が利いて、堅苦しくなく、チャーミングなブランドパーソナリティを表現しているという。 
 「ようこその気持ちを―Come on in」、「自分らしく過ごす時間―Me time」、「ソーシャルスタイルのレストラン―voco life」をメインコンセプトとする同ブランドを冠した同ホテルは、全191室、レストランやカフェ、フィットネスジム、ミーティングルームを完備。IHGがこれまで日本で提供していなかったスタイルの個性豊かなコンセプトのもと、利用客が自宅にいるかのようなカジュアルな寛ぎを提供する。
 また、節水タイプのシャワーヘッド、バルクアメニティ、生分解性のコーヒーカップ、100%リサイクル素材を使用した寝具の提供など、地球環境にも配慮しており、サステナビリティに敏感な利用者にも安心して滞在できるよう工夫した。
 「voco大阪セントラル」は、IHGが大阪で展開している「インターコンチネンタルホテル大阪」、「ANAクラウンプラザホテル大阪」、「ホリデイ・イン&スイーツ新大阪」、「ホリデイ・イン大阪難波」、また昨年12月に開業した「ホリデイ・インエクスプレス大阪シティセンター御堂筋」に加え、新たに大阪に進出する6軒目のIHGブランドのホテルとなる。
 IHGでは、今後も「インターコンチネンタル沖縄美らSUNリゾート」、「リージェント京都」の開業を予定している。

グリーンズ 心のバリアフリー認定「コンフォート」全73店で取得
 グリーンズ(三重県四日市市)では6月20日、全国で運営する「コンフォート」ブランドのホテル全73店舗について、観光庁創設の「観光施設における心のバリアフリー認定制度」の認定を取得した。 
 同ブランドのホテルでは、これまでも筆談等による案内や車いすの利用者に対するスムーズな館内移動の手伝いなど、ひとりひとりに合わせたサービス提供に努めてきた。今回の認定取得を機に、各ホテルにおける接客サービスの見直しやもっと工夫ができることの検討、また定期的なバリアフリーに関する全社研修等を実施していきたいという。
 具体的には、「筆談ボード」や「指さし会話シート」を使用したコミュニケーション、バリアフリーやサービス介助に関する定期的な従業員研修の実施、高齢者や体の不自由な利用者への滞在中のサポートを通じた快適なサービスの提供、などに取り組む。
 「観光施設における心のバリアフリー認定制度」とは、2020年6月のバリアフリー法改正に伴い創設された制度。バリアフリー対応や情報発信に積極的に取り組む姿勢のある観光施設を観光庁が認定し認定マークを交付する制度で、2022年5月現在、341件の施設が認定されている。
 同社では、グリーンズグループ2030年CSR宣言「『環境にも人にも優しいホスピタリティあふれる企業』を目指します」に基づき、これからもすべての利用者に、安全、安心で快適に過ごせる環境づくりに努めていきたいという。
 グリーンズは、40ヵ国以上7000軒以上のホテルチェーンのグローバルブランドを擁する「チョイスホテルズ事業」と、60年以上のホテル運営の実績をもつ「グリーンズホテルズ事業」とのシナジーで、中間料金帯ホテルチェーンで全国展開している。

ソラーレホテルズアンドリゾーツ 「チサンプレミアム京都九条」開業
 ソラーレ ホテルズ アンド リゾーツ(東京都港区)では「チサン プレミアム 京都九条」(京都府京都市)を秋に開業させる予定だ。
 同ホテルは、JR各線・近鉄・市営地下鉄烏丸線「京都」駅八条口より徒歩10分に位置。敷地面積146・88㎡、延床面積6672・86㎡、地上8階建て、客室数194室、運営会社はSHRホテルズ。既存ホテルをリブランドする。
 「チサン プレミアム」はチサンホテルズのコンセプトである「いつでも、期待以上の満足を。」のもと、ゆとりある造りの客室でワンランク上の旅を提供する同社の新ブランド。1号店となる「チサン プレミアム 京都九条」は「京都」駅から徒歩圏内で、清水寺や祇園などへも京都市営バス1本で行くことができるアクセスが良い立地のため、観光の拠点としての需要を見込んでいる。
 また、大人数で宿泊できる客室があり、大浴場と、広いレストランも備わっているため、修学旅行やグループ旅行などにも期待している。
 同社は宿泊施設や地域経済の活性化と再生支援のため、事業再生支援チームを発足。国内外のホテル運営で確立した独自の運営モデルと複数ブランドを生かし、運営会社の変更を伴う事業再生や承継支援、運営会社を変更せずに収益向上を図る運営支援、送客支援なども行っている
。  また、金融機関、投資ファンド等のネットワーク構築や、宿泊施設の雇用維持、地域経済の活性化についても積極的に取り組んでいる。
   同社は、「雨庵 金沢」「ザ・スクエアホテル」「ホテル・アンドルームス」「ロワジール」「ロイヤルパインズホテル浦和」「チサン」など17のホテルブランドを有し、国内63カ所、海外1カ所において、9676室のホテル宿泊部門、売店部門・料飲部門・大浴場・スパの運営、フランチャイズ運営などの事業を展開している。

「カンデオホテルズ宇都宮」始動
 カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(東京都港区)では、複合施設「Utsunomiya Terrace」(ウツノミヤテラス)の核テナントとして「カンデオホテルズ宇都宮」を8月26日に開業させる。
 同ブランドは、栃木県内では佐野に続き2施設目、宇都宮市内では今回が初となる。
 同ホテルは、客室数288室。室内でのデスクワークにおける機能性を重視した「ビジネスワイドダブル」(17㎡)や、窓際に配置された小上がりソファをベッドとしても利用でき3名でも宿泊可能な「ハリウッドツイン」(20~21㎡)など、ビジネス利用にも観光ニーズにも対応できる空間を設えた。また、最上階の特別ルーム「プライベートスパ スイート」(39~42㎡)では、小上がりソファに加え、客室内に露天風呂を備え、プライベートな空間で宇都宮市街の眺望を見ながら入浴を楽しめる。




週刊不動産経営編集部  YouTube