不動産トピックス
ホテル運営会社次の一手を探る
2022.07.25 10:47
サンセイランディック 宿泊運営事業を本格化
権利調整ビジネスを展開している東証プライム上場企業のサンセイランディック(東京都千代田区)はこのほど、宿泊事業を本格化させた。
同社は、2021年11月18日、八幡平観光活性化合同会社(HKG)を設立し、岩手県八幡平市の八幡平温泉郷において、既存ペンションにリノベーション工事を実施、2022年4月29日よりペンションオーナー及びオペレーション事業者との協業体制で宿泊施設の運営をスタートさせた。
この事業スキームは、(1)地域に密着した事業を展開するために、事業主体として、同社100%出資のSPCであるHKGを設立。(2)HKGがペンション客室を賃借して、事業を運営する。
同事業スキームは、基本的に、ペンションは宿泊に特化し、食事は株式会社クレセントが運営するノーザングランデ八幡平に集約させることで、「泊食分離」を推進する。これにより、ペンションオーナーの運営負担を軽減するとともに、飲食施設に送客することで、食の事業効率化を図っていく。
事業の参画意義について同社は、(1)地域活性化の推進として、八幡平温泉郷は、ぺンションオーナーの高齢化・後継者不在等により、地域活力の衰退が進んでおり、泊食分離による地域の再活性化を図ることで、同社の地域再開発事業の趣旨に合致する。(2)権利調整ノウハウの活用として、ペンション、旅館、別荘等、不動産所有者の相続問題が潜在しているため、同社の権利調整ノウハウを活かし、地域の抱える問題解決の一助を担う。更に(3)日本初のオスピタリタ・ディフーザの認証獲得として、世界中のスキー客・観光客に当地域のアピールが可能、等を挙げている。
同社によれば、現時点では、「ペンション日の出」の1施設(5客室)で事業開始するが、以後、周辺のペンション・未活用別荘への事業拡大を推進し、八幡平温泉郷の観光活性化を推進する方針。
更に、全国の当該地域と同様な課題を抱える地域に対して、事業パートナーとして支援し、地域活性化に貢献したいという。また、今回の事業推進過程でも見られた相続に関連する不動産の権利調整を要する諸問題等に関しても、同社のノウハウを活用して解決を目指していく。
サンセイランディックは、底地・築古収益物件(居抜き)をはじめとする権利関係の複雑な不動産を買い取り、関係調整したうえで再販する「権利調整ビジネス」を主軸に、全国展開しており、年間およそ2000件の相談を受け付けている。
ひとつの不動産に、土地建物所有者が持つ権利だけでなく借地権者、借家権者といった複数の権利者が存在すると、土地の自由な活用が阻害され、資産価値が低くなってしまいがちだが、こうした不動産の再生を行い、流動性を高めること収益性を高めている。
野村不動産ホテルズ 備品プラスチック提供料を削減
野村不動産ホテルズ(東京都新宿区)は、環境保護への取組みの一環としてプラスチック提供量の削減を進める。
「庭のホテル 東京」「NOHGA HOTEL UENO TOKYO」「NOHGA HOTEL AKIHABARA TOKYO」「NOHGA HOTEL KIYOMIZU KYOTO」と運営する4ホテルにおいて、9月より順次、客室に設置するアメニティのバイオマス製品や木質製品への切り替え、客室内常備品の見直しを始める。
野村不動産グループでは、企業として、持続可能な社会を実現する取り組みをより一層推進していくため、2050年のありたい姿としてサステナビリティポリシーを策定し、2030年までの重点課題を特定している。
野村不動産ホテルズでは、気候変動への対応や水資源・天然資源の適切な利用、生物多様性の配慮など、地域や社会の課題解決に貢献する。省エネルギー・脱炭素社会への取り組みや再生可能エネルギーの活用、適切な資源利用など、ステークホルダーの皆様と一体となった環境保全活動に積極的に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していきたいという。
客室でのアメニティ提供では、「庭のホテル」は、もみ殻を原料とした環境にやさしいバイオマス素材アメニティに切り替えた。
「NOHGA HOTEL」では、天然の竹製歯ブラシ・スリッパ・ミネラルウォーターを設置。客室に設置するアメニティは最小限にし、利用客には普段から使い慣れたものを持参することで、環境保護への取組みを推進していく。
野村不動産ホテルズでは、地球環境に優しいホテルを目指し、2019年より順次、CO2削減のために「CO2ゼロプラン」を導入し、調達電力のCO2排出量ゼロ化を行っている。
カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント 複合施設の核テナントで出店
カンデオ・ホスピタリティ・マネジメント(東京都港区)は、東急リバブル(東京都渋谷区)のプロジェクトマネジメントのもと、複合施設「TERRACE87(テラスハチナナ)」の核テナントとして、7月10日に「カンデオホテルズ熊本新市街」(同施設3階から12階)を開業させる。
熊本市が推進する「まちなか再生プロジェクト」の第一号として民間事業が「高さ基準の特例承認」を受けた初の事例となる同施設は、熊本市を代表する経済商業拠点である「アーケード商店街」と、2019年9月に開業した「桜町地区再開発施設」を結ぶ玄関口にあたり、新旧商業拠点の往来の要所となるエリアに位置。カンデオホテルズとしては九州最大規模となる地上12階・全380室の大型旗艦施設となる。
客室は、スタイリッシュなガラス天板のデスクを中央に配置し、ワークタイムの機能性を重視した「ビジネスデスクダブル」や、シモンズ製のシングルベッド4台に加え、窓際に配置された小上がりソファをベッドとしても利用してもらうことで大人4名、子供添い寝4名様での宿泊可能な「デラックスフォース」などを用意した。
また、客室内に露天風呂を備えた最上階の特別ルーム「プライベートスパスイート」と「プライベートスパカンデオスイート」を配置した。
カンデオホテルズは同施設の開業により、全国24施設4615室の展開となる。今後は2022年8月の「カンデオホテルズ宇都宮」(栃木県宇都宮市)、2024年夏までにカンデオホテルズ最大の国際級ホテル「カンデオホテルズ堂島浜」(大阪府大阪市北区)を開業予定で28施設5770室まで確定している。
同社は、創業以来ブランドコンセプトとして掲げてきた「唯一無二の四つ星ホテル」を軸に、国内外のビジネス・観光ニーズに合わせたハード・ソフト面での進化を続け、2030年までに国内1万室展開を目指していく。
東急ホテルズ 「京都東急ホテル東山」開業
東急ホテルズ(東京都渋谷区)は7月7日、京都市東山区で「THE HOTEL HIGASHIYAMA by Kyoto Tokyu Hotel(京都東急ホテル東山)」をオープンさせる。
同ホテルは、京都市営地下鉄東西線「東山」駅徒歩4分に位置、室数 168室、フロント、ロビー、レストラン、Tea & Bar、ショップ、プライベートスパ等を併設する。「京の極み 東に宿る」をコンセプトに、文化・芸術施設が多く集積し多様な文化を感じられる京都・東山の地で、時空を超えて現代の日本人の心に引き継がれる美を様々な形で感じてもらえる、滞在型ホテルとなる。
左官調の落ち着きあるロビーには、同ホテルでしか見られないオリジナルのアート作品を展示。かつてこの地にあった粟田小学校に由来する紋様・校章や当時の校舎図をモチーフに取り入れながら、西陣織の手法を使い現代的に表現した織物アートで、吹き抜け2層・長さ15メートルの作品。また京焼の1つで、この地で江戸時代中期から続く「粟田焼」の作品も展示している。
同ホテルでは、京都ならではの美意識に触れ、滞在の魅力を高めるオリジナルプログラム「京いろは」を用意。「京いろは」は五感にあわせて5つの切り口からアプローチした、長く京都や日本に息づく文化を愉しみながら感じられるアクティビティプログラムとなる。具体的には、神社仏閣の特別公開・特別拝観、漆器・窯もの・工芸等の制作体験、出汁・京菓子など「食」にまつわる講習など、ホテル内外で京都ならではの様々な文化体験を用意している。
アマネク 「アマネク」ブランド8棟目
アマネク(東京都千代田区)では、「アマネク」ブランド8棟目にあたる「アマネク金沢」を(石川県金沢市)を8月15日よりオープンさせる。
同ホテルは、敷地面積1226・82㎡、延床面積7246・17㎡、構造規模S造、地上12階建て、客室数は200室(ダブル40室、ツイン160室)。金沢の繁華街の中心である片町・香林坊地区に位置し、兼六園や21世紀美術館等の市内観光地にもアクセスしやすい立地にある。デザイン性に富んだロビー空間や大浴場を備え、客室は全室20㎡以上かつ水周りは完全3点分離のゆとりのある空間が特徴だ。
「アマネク金沢」は、大和ハウスリート投資法人(東京都千代田区)の運用資産であった「アゴーラ・金沢」を同社がオペレーター変更により8月より運営を受託する案件。
同社は、2016年6月に“日本の粋を活かした素材と独自の客室コンセプト”で初めての自社ブランドホテル「アマネク銀座イースト」を開業して以来、訪日外国人旅行者、国内旅行者、ビジネスパーソンはじめ幅広い層のニーズを獲得してきた。
2021年10月には「アマネク旭川」を開業したほか、全9棟のホテルを運営している。