不動産トピックス
クローズアップ 環境負荷低減編
2023.03.20 10:23
循環型社会の実現のため、さまざまな分野で取り組みが進む。不動産業界も例外ではなく、CO2削減などへの配慮は必須となりつつある。テナントも環境対応でビルを選ぶ時代。環境負荷低減への取り組みは不可欠だ。
東急不動産 「ゼロエミッション倶楽部」設立 環境で選ばれる施設目指し
東急不動産(東京都渋谷区)は、都市事業で展開するオフィスビル・商業施設で「環境で選ばれる施設」をめざし、テナント企業をはじめとするステークホルダーとともに、様々なプロジェクトに取り組んでいる。その第一弾として、オフィスビルや商業施設の改修工事等で排出される廃棄物を削減するため、1月31日には14社のパートナー企業と「ゼロエミッション倶楽部」を設立。協業体制を構築している。
「ゼロエミッション倶楽部」では、取り組みの第一弾として、工事廃棄物削減・再生利用に向けたパートナー企業との協業体制を構築。パートナー各社との連携協業により、オフィスビルや商業施設の改修工事等における廃棄物削減や省資源化に繋がる取り組みを開始。具体的には(1)空調冷媒フロンの回収・再生利用、(2)再生蓄電池の開発普及、(3)省資源型LED照明の開発普及、(4)再生内装建材の開発普及、(5)製品梱包材・廃棄建築設備部材の削減の五つを展開している。
「(1)空調冷媒フロンの回収・再生利用」では、空調設備機器の更新工事等で冷媒フロン回収率100%を目指すとともに、回収する冷媒フロンの再生処理率100%を目指す。
「(2)再生蓄電池の開発普及」では、通常7~8年で交換される非常用蓄電池を再生させ、有効活用する。
「(3)省資源型LED照明の開発普及」では、従来では一式交換していた照明器具を部分交換型にし、交換工事等の作業時間短縮と廃棄物削減を図る。
「(4)再生内装建材の開発普及」では、ビルの原状回復工事で再生タイルカーペットを採用し、省資源化と廃棄物削減を図る。
「(5)製品梱包材・廃棄建築設備部材の削減」では、梱包材の再利用、集合梱包、集約運搬、工場加工・工場組み立ての採用等により改修工事等の作業時間短縮と廃棄物削減を図る。
東急不動産は、東急不動産ホールディングスグループのビジョンのもと、事業活動を通じた課題の解決を推進している。特に環境課題では再生可能エネルギー事業に取り組み、自社の国内保有施設電力の再生可能エネルギーへの切り替えや、建物緑化による都市の環境負荷軽減、エコツーリズムを通した生物多様性保全の取り組みなど、これまでも「脱炭素社会」、「循環型社会」、「生物多様性」の3つの観点で様々な活動を行うなど、グループのビジョンにおいても環境経営は重点課題のひとつとなっている。
環境省 環境スタートアップピッチ開催 CO2削減・報告クラウドサービス提供会社が大臣賞
環境省は、「2022年度環境スタートアップ大賞の受賞者発表」ならびにプレゼンテーション「Green Startup Pitch(グリーンスタートアップピッチ)」を3月15日に開催した。
同イベントは、環境スタートアップ企業を表彰して事業機会の拡大を支援すると同時に、ロールモデルの創出や、環境技術のイノベーションを図ろうというもので2020年度に創設された。
本年度について同省は、2022年11月から12月に、環境に関するビジネスや技術を持つ環境系スタートアップ企業の募集を行った。有識者で構成した「環境スタートアップ大賞選定委員会」が、受賞者を決定。「環境スタートアップ大臣賞」1件、「環境スタートアップ事業構想賞」1件、「環境スタートアップ選定委員賞」4件を選出した。
「環境スタートアップ大臣賞」に、CO2排出量見える化・削減・報告クラウドサービスを手掛けるアスエネ(東京都港区)が、「環境スタートアップ事業構想賞」に、環境保全を事業化するバイオーム(京都市下京区)が選ばれた。
イベント当日は、受賞者のピッチや表彰に加え、環境スタートアップにかかる動向等についての基調講演や選定委員・受賞者によるパネルディスカッション、交流会も行われた。
大臣賞は「アスエネ」
大臣賞を受賞したのはアスエネ(東京都港区)。企業・自治体を対象にとしたCO2排出量見える化・削減・報告サービス「アスゼロ」と、サプライチェーン調達のための評価サービスを運営している。今後もコンサルティングと脱炭素ソリューションサービスを提供し、企業の脱炭素経営とESGの取り組みを推進するとしている。
大阪・阿倍野にセロエネルギーマンション 三菱地所レジデンスとENEOS不動産が共同で開発
三菱地所レジデンス(東京都千代田区)は、同社の関西初のZEHマンションとなる「(仮称)大阪市阿倍野区昭和町3丁目計画」を企画し、2月1日に着工した。事業主はENEOS不動産(横浜市中区)。三菱地所レジデンスの賃貸マンションシリーズ「ザ・パークハビオ」となる予定で、「ZEH-MOriented」の基準を満たすほか、太陽光パネルを設置して電力を共用部に使用する。
立地は大阪メトロ「昭和町」駅徒歩7分、JR「南田辺」駅徒歩8分。建物は敷地面積607㎡、延床面積2649㎡、RC造地上12階、総戸数72戸。
間取りは1K~2LDK、専有面積は24・31~50・86㎡。引渡は2024年8月下旬を予定している。
1階共用部には居住者用のオープンスペース、カウンター席、一人用のブースも設け、在宅勤務に利用できるよう想定している。