不動産トピックス
クローズアップ 出店サポート編
2023.05.01 10:34
コロナ禍以降、出店希望者向けの新サービスが次々に登場している。賃貸物件オーナーとしては、これを機に空室解消・収益拡大につなげたい。
飲食区画DXを支援するパートナー型飲食店舗開発「RaaS」
全国にシェア型レストランを展開するfavy(東京都新宿区)は、飲食区画のDXを支援するパートナー型飲食店開発「RaaS(レストラン・アズ・ア・サービス)」を三井不動産グループが管理・運営する商業施設「COREDO室町1」で開始した。
favyのシェア型レストランは、運営会社は同社でありながら、短期出退店可能の入れ替え制を採用(長期の契約も可能)。テナントは初期投資を抑えて、リスクが少ないスタイルの出店ができる。新業態もチャレンジしやすいシステム。また同社がサブスク、モバイルオーダー提供、店舗運営サポートまでの一貫したサービスを提供する。次世代型のスタイルを生かし、商業施設と入居店舗の双方のニーズを繋げることが可能だ。同社が2019年に開設の東京銀座のシェア型レストラン「re:Dine GINZA」では、オープンから年間4万人を超える利用客が足を運んだ。累計出店数は29店舗(23年3月現在)。コロナ禍でも坪月商約60万円を超えるテナントもあった。同社では何度も来店へ繋げる仕組みづくりを得意とする。出店者の最短出店期間は1カ月。最長出店期間は約5年と、短期・長期でも出店しやすい環境も魅力だ。
パートナー型飲食店開発「RaaS」は、favyが作った造語レストラン・アズ・ア・サービスが元となっている。商業施設の飲食区画に、飲食店経営をサービス型で実施できる店舗を開発。「COREDO室町1」のシェア型レストラン「re:Dine 日本橋室町」に入居する店舗を募集し、店舗開設とその後の運営までのサポートを行う仕組みだ。同社は、飲食店舗の立ち上げからデザイン設計、施工、テナントのリーシング、システム提供や運営などをワンストップで提供している。2018年より「シェア型レストラン」を提供。自社の飲食直営店舗のノウハウ、サブスクリプションの顧客管理によるデータドリブンでの知見をもとに運営してきた。前述のノウハウを生かして、日本橋エリアの盛り上げに協力する。
今回の開設は4月26日、「COREDO室町1」4階にオープン。ランチ業態、レストラン業態、ゴーストレストラン業態、1日だけの間借り、実店舗設立の前のテスト利用の場合でも入居可能。初期費用20万円。今後同社では2023年内に、関東・関西エリアなどの複数の商業施設でシェア型レストランをオープン予定である。
店舗開発分野の商圏判定に特化したクラウド型サービス
パスコ(東京都目黒区)は、地図情報と各種統計情報などを重ね合わせて地域や市場の分析をシステム上で実現する商圏分析支援ソリューション「MarketPlanner(マーケットプランナー)」シリーズを展開している。今年2月からは、分析機能を店舗開発に特化したクラウド型サービスをラインナップに追加した。
「マーケットプランナー」は、店舗開発にに最適化した機能やデータと、パスコ独自の候補物件評価ロジックを搭載。客観的な物件の評価結果を迅速に提供できる。2003年から約20年にわたり、延べ1万ライセンスを超える顧客が利用。地域や市場をデータに基づき分析する充実した機能を搭載しており「さまざまなデータから、多角的な分析結果のアウトプットができて便利」など、高い評価を得ているという。
今回の新サービスは、店舗開発の担当者向けに特化したもの。リモートワークも考慮し「いつでも・どこでも・だれでも商圏が判定できる」をコンセプトに、スマホやタブレット、パソコンでの利用に対応。現地調査中でも欲しい情報を入手できる。また、業務経験が浅くても一定の評価が可能なシステムを搭載。操作アドバイス機能により、マニュアルがなくても安心して操作することが可能。
人流データはソフトバンク子会社のAgoop(東京都渋谷区)のものを標準搭載。居住者や勤務者、来街者などの居住者区分も把握できるほか、国勢調査、年収や貯蓄、将来人口、消費支出などの最新の統計データも揃えている。さらに、歩行者専用道路を追加した最新の歩行者ネットワークデータも搭載。Googleマップの表示機能を使用し、航空写真やストリートビューも利用可能。
キッチンカーや移動店舗の出店場所が探せるサイト
移動店舗事業の開発支援を行うティーピーズ(東京都調布市)は、キッチンカーや移動店舗が出店している会場を探せる検索サイト「Poshspace(ポッシュスペース)」を提供している。
移動店舗事業者にとって、新たな出店場所の開拓の一環として活用できる。会員登録もなく、利用料も無料。
「ポッシュスペース」は、車両での移動店舗出店に特化した検索サービス。出店実績の掲載件数は、2022年10月1日時点で日本一という。
掲載されている出店情報は、キッチンカーや移動の出店実績をもとにしたリアルタイム情報。出店者募集情報も、サイト内のページから簡単にアクセスできる。また、イベント情報も毎日更新。出店者を募集しているイベントがすぐにわかる。さらに、他の出店者が気になっている「注目度の高い場所」もリストアップ可能。
コロナ禍により、密を避けるとともに、新たな顧客の開拓に繋がる販売形態としてキッチンカーや移動店舗市場が拡大している。同社によると、これまで参入をしてこなかった業種の参入も目立つようになってきているという。同社では、「商売は『立地8割』と呼ばれる通り、キッチンカーや移動店舗事業者にとっても『出店場所』は、ビジネス上の大きな役割を占めます。一方、出店場所探しは、募集を行う事業者のホームページやSNS、仲介事業者からのクローズドな情報などで断片的かつ閉鎖的で、最も重要な出店場所探しが、最も大変な作業となっていました。当サービスにより出店場所を探しやすくすることで、新たに移動店舗への参入機会とし、移動店舗市場の拡大につながるよう、本サービスの提供を開始することとしました」と、サービス開始の背景を説明する。
今後は移動店舗事業を展開している事業者の紹介や、急遽出店できなくなってしまった事業者などのため、助け合いの掲示板を開設し、移動店舗事業者同士が連携できるような機能を拡充していきたいという。さらに、消費者が移動店舗・キッチンカーを検索できるサービスも開始する構想だ。