不動産トピックス

ホテル運営会社次の一手を探る

2023.08.21 10:27

ワンファイブホテルズ 「Re-Design」プロジェクト推進 福岡デザインホテルをリブランド
 不動産大手 いちご(東京都千代田区)のグループ会社 ワンファイブホテルズ(福岡市中央区)では、2022年1月より「Re―Design」プロジェクトを推進。10月1日に同社が保有する「ホテル イル・パラッツォ」(同)をリブランドオープンさせる。
 同ホテルは、1989年開業。20世紀を代表する世界的な建築家のアルド・ロッシ氏と、日本を代表するインテリアデザイナーである内田繁氏がアートディレクターとしてタッグを組んで実現した日本初のデザインホテル。両氏のほかにも、多くの世界的なクリエイターが参画したことで、開業時には大変な話題となったホテルだ。
 1990年には、建築界のノーベル賞と言われる「プリツカー賞」、「福岡市都市景観賞」を受賞。1991年には、アメリカ国外の建築物では史上初となる「アメリカ建築家協会(AIA)名誉賞」を受賞している。
 その後ワンファイブホテルズが、前運営会社から事業譲渡を受け2019年5月末より同ホテルの運営を進め、建物のバリューアップを検討していた。
 「Re―Design」プロジェクトでは、同ホテルのデザインだけでなく、その高い社会的資産に着目。内田繁氏の逝去後も同氏の思いやデザインの理念を受け継ぐ「内田デザイン研究所」をパートナーに選定した。
 改修工事期間は2022年1月から2023年9月で、総工費は約18億円。
 同ホテルは、全77室、福岡市営地下鉄空港線「中洲川端」駅から徒歩約7分に位置する。
 プロジェクトの主なポイントは、1989年開業時のホテルロゴデザインの復活のほか、アルド・ロッシ設計の外観デザインはオリジナルを尊重し一部復元。ディスコ、イベントホールなど、時代やニーズに合わせて独自のカルチャーを発信してきた地下空間は、130席の大型ラウンジに生まれ変わった。
 階段を登る必要があったエントランスは、1階から段差なく直接アプローチ可能に。1989年のオリジナルの配色を踏襲したエントランスは「結界」をイメージ。客室はスーペリアクイーンとデラックスキングの2タイプに加えて、バルコニー付の客室を新設した。
 ワンファイブホテルズは、5月31日に「博多ホテルズ」より社名変更し新たなスタートを切った。同社は福岡を拠点に、北海道、関東、関西、中国など全国的にエリアを拡大してきた。同時に専門的なノウハウでホテルの開業や運営をサポートする業務、コールセンター対応の業務を受託するなどの事業の可能性を広げてきた。例えば、複数ホテルのバックヤード機能を1カ所に集中させる「カスタマー・インタラクティブ・センター(CIC)」では、業務の効率化による労働環境向上に成果を上げている。
 同社では今後も様々な施策を通じ、新しい価値を生み出す力を最大化することで、事業の拡大・推進を目指していきたいという。

共立メンテナンス 「ラビスタ観音崎テラス」開業
 全国にリゾートホテル「共立リゾート」やビジネスホテル「ドーミーイン」を運営している共立メンテナンス(東京都千代田区)では、神奈川県横須賀市に「ラビスタ観音崎テラス」を8月4日にオープンさせた。 
 同ホテルが位置する横須賀市観音崎は、三浦半島東端に位置し、都心から1時間ほどで行くことができるリゾート地で、「かながわ景勝50選」にも選ばれている。
 同ホテルは、京急線「馬堀海岸」駅より観音崎行きバス10分に位置。地上3階建て、客室は全75室で、ホテル棟60室(ラビスタツイン、ツイン、トリプル、フォース)、グランピング15室(ツイン、フォース)。
 浦賀水道を望む天然温泉露天風呂では、目の前に広がる海と空を眺めながら、湯浴みを堪能できる他、内湯、ドライサウナ、ミストサウナ、岩盤浴も用意。5つの趣の異なる天然温泉貸切風呂は、無料で何度でも利用可能だ。
 夕食は、神奈川県産の魚介や三浦の野菜など、四季折々の食材にこだわった洋食コース料理を提供。朝食は、「オムレツ」、「揚げたての天ぷら」をシェフが目の前で作るライブキッチンや三浦半島の食材をふんだんに使用した約80種類の和洋バイキングを提供する。
 ホテル敷地内には、東京湾を一望できる場所にグランピング施設を完備。夕食は、グランピング前のテラスで、セルフBBQを用意している。
 共立メンテナンスでは、日本各地にリゾートホテル・ビジネスホテルをラビスタシリーズとして各地に運営している。同社はまた、ペットとの滞在を愉しむ「ルシアン」シリーズ、個性豊かな「和の湯宿」などのリゾートホテル・癒しの湯宿。現在「ラビスタ観音崎テラス」含めて、全国に42カ所展開している。

「とことん静岡」コンセプト ミナシアがリノベオープン
 ミナシア(東京都千代田区)では8月10日、静岡市葵区七間町にあるホテルをリブランドし「ホテルウィングインターナショナル静岡」としてオープンさせた。
 同ホテルは、JR東海道本線「静岡」駅より徒歩13分に位置、客室数全186室。再開発が進む「七間町エリア」に隣接し、ビジネス・レジャーの拠点として利用できる。館内はフルリノベーションをし「とことん静岡」をコンセプトに、静岡の発展に大きな功績を残した武将や富士山、茶畑など自然をイメージした客室デザインを採用した。
 静岡市は、全国に出荷されるおよそ8割のプラモデルを生産するホビーの街のため、同ホテルも「もしもこの街がプラモデルだったら、どんな景色になるのだろう?」、「どんなワクワクが待っているのだろう?」といった遊び心から生まれた地域創生プロジェクト「静岡市プラモデル化計画」に賛同した。ユニークな館内サインやプラモデルに没頭できるコーナーを設置し、いたるところにプラモデルデザインを取り入れているのが特徴だ。
 客室はスタンダードダブルから、エキストラベッドを入れて3名利用が可能なデラックスツイン、最大10名まで宿泊可能なフォースルームまで様々な客室タイプを用意する。
   同社は、「ホテルウィングインターナショナル」、「ホテルウィングインターナショナルプレミアム」、「ホテルウィングインターナショナルセレクト」「テンザホテル」の4ブランドを展開し、現在41店舗、5480室を運営している。

エクスペディアグループ ChatGPT駆使した新機能
 エクスペディアグループ(日本法人:東京都港区)は今回、エクスペディアとホテルズドットコムのアプリ上の機能として、ChatGPTを使った対話型の旅行プランニングとスマートショッピング機能をリリース。これらのテクノロジーを駆使して旅行者を第一に考えた改革を進め、より付加価値の高いサービスを提供していく。 
 エクスペディアのユーザーがより直感的な旅行プランニングができるよう、今年初めにChatGPTを使った対話型の旅行プランニング機能をエクスペディアのiOSアプリでローンチ。来月初旬にはエクスペディアのAndroidアプリでも使用可能になるほか、さらなる新機能も追加される。 
 チャット上でおすすめされたアクティビティは、ホテルなどの情報とあわせてアプリ上に自動的に保存されるため、空席状況などの追加情報を探す際に再度探すことなく便利になる。
   今夏以降、チャット上で薦められたホテルには、画像や価格帯、レビューなどの追加情報が表示され、更に具体的に旅行をイメージできるようになる。いつでも同じチャット上に戻って会話を続けること、提案されたプランの1つを選んで新たなチャットを始める、提案された選択肢を選ぶだけで返答するなど、更に直感的で簡単な操作が可能になる。
 エクスペディアグループは、「Travel is a force of good(旅行は人々を豊かにする)」という考えの下、旅行をすることで得られる新たな経験やつながりの構築を支援し、最新のテクノロジーとソリューションを通じて、記憶に残る旅行を支援する。

オークラニッコーHM 「ホテル・ニッコー」を中国で
 オークラニッコーホテルマネジメントでは、中国で「ホテル・ニッコー常熟」(江蘇省)を8月1日に開業させた。
 同ホテルは常熟市中心部より南へ約6kmの距離にある常熟市国家高新技術産業開発区に位置。同開発地区は常熟市経済をけん引する新たなエリアとして期待されている。 
 建物は288室の客室、レストラン、屋内プール、会議・宴会場を備える。館内のデザインは、現代的な空間に日本の美意識を取り入れ、ロビーや客室をはじめ、随所に常熟の自然をモチーフにした装飾品を配置した。
   14室のスイートルームを含む客室には、優美なカーブを描く家具やコンテンポラリーアートワークを取り入れ、趣のあるクラシカルエレガントな空間を演出。天井から床まである大きな窓からは近隣の昆承湖の景色を望むことができる。
 長期滞在者には、ホテルとは別棟に197室のサービスアパートメントを配置。最新の電化製品に3つのベッドルームを備えた部屋など、利用人数に合わせ4タイプより選ぶことができる。

フリーゲート白浜 「くろしお想」リニューアル
 フリーゲート白浜(大阪市中央区)では、和歌山県南紀白浜エリアに2023年1月まで料理旅館として営業していた建物をリニューアル。この度温泉宿「くろしお想(KUROSHIO SOU)」としてオープンさせた。
 同施設は、JR「白浜」駅よりタクシーで10分の場所に位置する。客室数は11室。館内や客室には、和歌山県内の地場産業工芸品やインテリア、紀州材を取り入れた和モダンな空間を演出。客室はガーデンビュースタンダードルーム8室、コーナージュニアスイートルーム(半露天風呂付)3室。ロビーライブラリー、セレクトショップ、ダイニング、男湯・女湯、貸切風呂、日本庭園、テラスを備える。 
 食事は、東京都南青山にあるミシュラン一つ星の日本料理店〈てのしま〉の林亮平シェフが監修した。




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