不動産トピックス

クローズアップ 環境貢献編

2023.08.21 10:21

 企業が取り組む環境貢献活動のメリットとして、CSRやサステナビリティへの貢献などが挙げられることが多い。昨今では企業価値の向上や社員の意識向上などにも注目が集まり、活動の重要性は増している。

10周年の「大手町の森」でトークセッション 都市における自然環境の保護・整備について考える
 東京建物(東京都中央区)は今月2日、「都市・森×人」をテーマに未来のまちづくりについて語るトークイベント「大手町の森 10th Anniversaryトークセッション~「都市の森」と、「森(しん)・呼吸」を考える~」を開催した。
 イベントの舞台となった「大手町の森」は、「大手町タワー」の敷地全体の約3分の1に相当する約3600㎡の広さを特徴とする。都心に「本物の森」を再現すべく、千葉県君津市で約3年かけて実証・育成した自然の土壌や植物を移植。施工時に約100種だった樹木・地被類は、約1年半後には希少種も含め約300種まで増加。大手町の谷間にできた「森」として、都市の自然環境の保護・整備に寄与してきた。
 この「大手町の森」が10周年を迎えたことを記念して行われた同イベント。トークセッションには同社の専務執行役員 加藤久喜氏に加え、環境省 大臣官房審議官の堀上勝氏、「大手町タワー」のテナントであるみずほFGグループCSuo補佐の末廣孝信氏が登壇した。
 今後の都市環境のために大切なことについて加藤氏は「この10年の中で、この森には生物多様性があることが確認されました。これからも、この森に新たな希少性が生まれるのではないかと思います。今後も生態系のネットワークを維持し、人にとって居心地の良い空間整備を行う中で、緑と都心の融合を深めていきたい」と意気込んだ。  イベントの後半では、アーティストのAIさんと呼吸アドバイザーの椎名由紀さんを迎え、トークセッションと呼吸法のレクチャーを開催した。

温室効果ガス排出量可視化サービスに省エネ法・温対法対応のレポート機能
 TBM(東京都千代田区)は、CO2を含む温室効果ガス(GHG)排出量を可視化するクラウドサービス「ScopeX(スコープエックス)」に、「省エネ法・温対法・フロン法電子報告システム(EEGS、イーグス)」対応のレポート機能を追加した。
 ScopeXは、原材料調達、製造、物流、廃棄等、一連の事業活動から発生するGHG排出量を算出し、優先的に排出量を削減すべき対象を特定することができるクラウドサービス。2022年のサービス提供開始以降、プラスチック関連事業者、農業関連事業者、不動産関連事業者などさまざまな業界での導入が進んでいるほか、北九州市が主催するスタートアップ支援プログラム「KITAKYUSHU SDGs STARTUP ECOSYSTEM PROJECT」にも採択されている。
 GHG排出量が一定以上の事業者(特定排出者)はこれまで、環境省が定める「温室効果ガス排出量算定・報告・公表制度(以下SHK制度)」に基づいたレポート提出が必須で、その提出は書面で行われていた。しかし2022年5月からEEGSでの報告が推奨され、企業が作成するレポートも書面ではなくEEGSで利用するxml形式の提出が求められるようになった。
 「ScopeX」に追加されたEEGS対応のレポート機能では、これまで省エネ法・温対法のレポート作成にかかっていた工数の削減を実現。これにより、「ScopeX」に搭載されているGHG排出量の各年度排出量比較等の各種グラフ機能やフィルタリング機能等に加え、レポート機能を組み合わせて活用することで、GHG排出量の算出、可視化、レポート作成までをワンストップで実施できるようになった。
 同サービスで算出するGHG排出量と報告項目は「GHGプロトコル」に基づいており、企業活動で排出される項目は直接排出(Scope1)と間接排出(Scope2)、バリューチェーンでの排出(Scope3)に分類。ScopeXにかかる企業活動のデータを入力することで、企業全体のGHGの算出が可能となった。

空き家を植物工場に転用 空き家解消と土地利用の効率化実現
 ARN(名古屋市中川区)は、空き家を転用した植物工場事業を行っている。
 同事業では、空き家をAIとIoT技術を活用した植物工場へと転用し、土地利用の効率化を実現するだけでなく、コミュニティの活性化にも寄与する。
 同事業で利用するシステムは、IoT機器のセンサーからの各種データ、画像、天候等のデータをリアルタイムで取得し、AIで解析を行う。その情報に基づき生育管理を行い、ドローンを活用した自動管理により、一貫性のある品質の農産物を生産する。
 また、同社は空間の制約がある空き家でも大量の農産物を生産できる栽培技術を確立。これにより、農業の効率化と空き家問題の解消を一度に実現する。
 先月からは、同社のAIラボで収益性の高いトマトとメロンの栽培による実証実験を開始した。これにより、同社のAIとIoTを活用した高効率栽培技術が、実際にどれほど収益性を向上させるかを検証している。




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