不動産トピックス

クローズアップ サステナビリティ編

2023.11.27 11:17

 「持続可能性」と訳されるサステナビリティは、不動産業界でももはや無視することのできないワードだ。ビル経営の目的は収益だけでなく、生活や社会活動のためのインフラ提供にもある。持続の重要性を、あらためて考えたい。

グローブシップ 「第7回 お取引先セミナー」開催 清掃サービスエコマーク・外国人人材について紹介
 総合的なビル管理・マネジメントサービスを提供するグローブシップ(東京都港区)は今月21日、千代田区大手町の「大手町サンケイプラザ」ホールにて「第7回 お取引先セミナーを」開催した。これは、同社が取引先企業向けに開催しているもので、今回の全体テーマは「SDGsの取組みと経営活用」。第1部では「SDGsの取組みを通じたこれからのサステナビリティ戦略」と題して三菱UFJリサーチ&コンサルティング(東京都港区)のコンサルティング事業本部サステナビリティ戦略部の深山雄一郎氏が登壇した。
 講演の中で深山氏は企業がサステナビリティ経営の一環としてSDGsに注力することの重要性を解説。不動産業界の大手企業で展開されている先進的なSDGsの取組事例が紹介された後に、中小・中堅企業がSDGsに取り組む際のポイントについて紹介した。深山氏は「SDGsへの対応がビジネスにおける取引条件になる可能性もあり、持続可能な経営を行う戦略としても活用の幅が広がります。また、SDGsの取り組みをきっかけに地域との連携や新しい取引先、事業パートナーの獲得、新たな事業の創出など、今までになかったイノベーションやパートナーシップを生むことにもつながるでしょう」と述べた。
 その後、グローブシップのSDGsの取組紹介が行われ、同社安全品質推進部の猪股圭介氏が「No.510 清掃サービスエコマーク」の認定取得について紹介した。環境保全に貢献する製品に対して認定されるエコマークであるが、「No.510 清掃サービスエコマーク」は、清掃サービス提供業務に特化した認定である。2021年3月に1社目が取得後、2023年10月時点ではグローブシップをはじめ全国計12社が認定を取得している。同社は本年3月に首都圏10カ所の施設を範囲として取得し、現在までにその数を計29カ所に増やしている。将来的には全施設での認定を目指すとのことだ。
 このほか、人材活用多様化の取り組みとして、同社に在籍する外国人人材を代表してインドネシア出身のレディ・オルガディア・ソピアンさんとミャンマー出身のダー・メン・スンさんが登壇。母国を離れて仕事することの苦労や、仕事のやりがいを感じる点などを語った。現在、同社ではミャンマーやフィリピンなど外国籍の人材182名が在籍しており、技能実習生としてスキルを磨いた後、更なる活躍を目指すキャリアプランを構築することで外国人人材の高度化を図っている。

積水化学工業/リノベる 既存マンションをリノベでZEHに
 積水化学工業住宅カンパニー(大阪市北区)と、リノべる(東京都港区)は、既存のマンションを「ZEH(エネルギーゼロ住宅)」水準にリノベーションするサービスを提供している。リノベーションの設計・施工、温熱計算、BELS(建築物省エネルギー性能表示制度)申請、費用対効果の見える化をワンストップで提供し、区分マンションの買取再販事業、個人向けのリノベーション請負事業、法人向けのリノベーション請負事業の3つのチャネルで展開していく。
 提供するのは「住宅の高断熱化」と「住宅設備等の高効率化」を満たす「ZEH Oriented」に適合した省エネ性能向上リノベーション。10月には第一号案件として、神奈川県川崎市宮前区の区分所有マンションが竣工。リノベるの買取再販事業「リノベる。U」において、BELS認証「ZEH Oriented」を取得したリノベーション済みマンションとして販売している。同物件は子供のいる共働きファミリーを想定した。16・5帖のLDKと洋室2部屋を備えた2LDK。フルスケルトンに解体の上、給排水管や配線、内装、設備等をすべて新設。積水化学の高断熱高気密を施工し、高効率エアコンや省エネ高効率給湯器、高断熱浴槽等、給湯・給水の配水方式にヘッダー方式を採用。同物件では、光熱費削減分が、ZEH水準リノベーションへの追加費用(投資)の住宅ローン返済額と同等となり、住宅ローン減税上乗せ措置や各種補助金、金利優遇などが、そのまま経済的メリットになることが見込まれているという。
 積水化学工業とリノベるは2023年4月に資本業務提携を締結。今回が協業第一弾の取り組みとなる。両社は「サステナブルな循環型社会の実現を目指し、シナジー最大化を探索しながらパートナーシップを構築してきた」とし、「2社の技術力とデザイン提案力を掛け合わせることで、『ZEH水準リノベーション』の普及を推進し、良質な住宅ストックが循環する新たな循環型住宅マーケットを創造、カーボンニュートラル社会の実現に寄与していく」と抱負を述べている。

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