不動産トピックス
今週の一冊
2024.05.13 10:26
立ち込める暗雲、バブルは弾けるのか
中国不動産バブル
著者:柯 隆
出版:文藝春秋
発行:2024年4月20日
価格:1100円(税込)
経営が悪化している中国の不動産大手、碧桂園(カントリー・ガーデン)は9日、2種類の人民元建て債に関して、日本円で合計約14億円の利払いが同日の期限までにできない見通しであると発表。昨年は同じく不動産大手の恒大グループが米国の裁判所に破産法の適用を申請するなど、ここへきて中国の不動産業界ではにわかに暗雲が漂い始めているように見える。
活況の中国不動産市場はバブルであり、いずれそのバブルは弾けてしまうのか。もし不動産バブルの崩壊シナリオが現実のものとなるなら、何が原因となるのか。本書は、現在の中国国内における不動産ブームは何がきっかけで起こったのか、中国特有の土地の公有制や戸籍管理制度は不動産ブームにどのように影響しているのか、一人っ子政策で深刻な少子高齢化に進みつつある現状と若者の意識について解説。都市封鎖など強権的な手法によって新型コロナの市中感染拡大を抑え込もうとした、いわゆるゼロコロナ政策の評価とこの政策が不動産市場に与える影響について述べている。
日本と中国は文化・経済の両面で結びつきが深く、仮に中国の不動産バブルが崩壊となれば日本経済にもその影響が容易に想像できる。日本企業にとって中国は巨大かつ有望な市場であることは間違いない。しかし隣国の不動産バブルの崩壊にも影響を最小限に留められるよう、第三国の市場の開拓する戦略を強化する必要があるといえるだろう。