不動産トピックス
【今週号の最終面特集】話題の新施設に潜入
2024.05.27 12:01
新橋・虎ノ門の新築ビルに模型・プラモの聖地誕生 店舗内では1分の1サイズ「ミニ四駆」を展示
幅広いオフィス需要に対応すべく大手デベが新たな商品展開に注力
競合相手の多い都心の賃貸ビルは、付加価値や差別化によって市場での存在感をもたせる取り組みが必須となっている。直近で竣工を迎えた物件においても、独自性のあるテナント誘致や新たなニーズを呼び込む設計など、アイディア満載の新施設が数多く登場している。
約6000アイテムを販売 店内にはカフェスペースも
大型開発が相次いで展開されている新橋・虎ノ門において、安田不動産(東京都千代田区)が開発を推進してきた「新虎安田ビル」が今年2月に竣工した。建物は新虎通りと赤レンガ通りの交差点に位置し、延床面積は約2万5800㎡。オフィスを主体としたフロア構成で、カンファレンスホールや会員制のシェアラウンジも整備されている。
今月24日、同ビル1階に日本のものづくりの一翼を担う「模型文化」を発信する店舗「TAMIYA PLAMODEL FACTORY TOKYO(タミヤ・プラモデルファクトリー・トーキョー)」がオープンした。運営するのは模型・プラモデルメーカーのタミヤ(静岡市駿河区)で、2008年9月にオープンした旧店舗「タミヤ プラモデルファクトリー新橋店」を移転しての開業となる。
同社の新しいフラッグシップとなる店舗内は「タミヤの今が、ここにある。」をコンセプトに、同社の看板商品である「ミニ四駆」をはじめ、最新のプラモデル、ラジコンカー、工作グッズなど、約6000ものアイテムを取りそろえる。高さ4m、全長約100mの巨大な商品棚は店舗内をめぐるように曲折した形状で配置されており、たくさんの模型に囲まれる趣味の部屋のように、訪れた人の好奇心をかき立てる。また店舗内の各所に配置されたイラストレーションはイタリアのアニメアーティスト、フランチェスカ・ゲルマンディ氏が担当した。
イベントスペースでは模型作品の展示会をはじめ、「ミニ四駆」やラジコンカーといったレース用モデルの競技会や体験会、さらには工作教室、ワークショップ、セミナー、トークショーなど、様々なイベントの開催に対応する。このほか併設のカフェではスペシャルティコーヒーやソフトドリンクなどを販売し、誰でも気軽に入ることのできる雰囲気づくりにも注力。交差点角に面した視認性の高い一角には「ミニ四駆」の人気車種「エアロアバンテ」をレーシングカーと同様の1分の1サイズで再現した実動車両が展示されている。
オープンを前日に控えた今月23日にはメディア関係者向けの内覧会を開催。タミヤの代表取締役会長兼代表取締役社長の田宮俊作氏、専務取締役の田宮信央氏が店舗を訪れた。誰もが童心に帰ることのできる模型・プラモデル新しい聖地は、ビジネスパーソンが集う新橋・虎ノ門の新スポットとして早くも注目を集めている。
コンパクトオフィス「CIRCLES」に新シリーズ
三菱地所(東京都千代田区)が千代田区九段南において開発を進めてきたコンパクトオフィス「CIRCLES+(サークルズプラス)市ヶ谷駅前」が、今月15日に竣工。16日には内覧会が実施された。
同物件はJR・地下鉄各線が乗り入れる「市ヶ谷」駅より徒歩1分の靖国通り沿いに立地し、建物規模は地上11階地下1階。延床面積は6468・54㎡。同社はこれまでベンチャー・スタートアップ等の成長企業をメインターゲットとするコンパクトオフィスシリーズ「CIRCLES」を2019年より展開しているが、今回竣工した「CIRCLES+市ヶ谷駅前」はコンセプトを踏襲しつつ各種機能を拡充。また、より大きなフロア面積を備えた新シリーズ「CIRCLES+」の1号物件となる。
基準階面積は約158坪で、従来の「CIRCLES」の30~100坪程度と比べると一回り大きなサイズ感となっている。これにより最大50~60名程度の出社にも対応し、ワンフロア占有で一体感のあるオフィスづくりを実現する。また貸室内のレイアウトの自由度が高いグリッドシステム天井を採用し、天井高は2700mmと開放感も高い。外観はガラスカーテンウォールを採用しており、建物前面に広がる江戸城の外濠によって眺望にも恵まれている。セキュリティ面では「CIRCLES」と同様にオフィスエントランス及びエレベーターかご内の2段階セキュリティを採用。加えて「CIRCLES+」ではカードリーダーに加えて顔認証端末を設置し、非接触で目的のフロアへの到達を可能とする。
「CIRCLES」で入居テナントに好評となっているルーフトップテラスは「CIRCLES+市ヶ谷駅前」でも整備されており、より広く、植栽や什器もグレードアップした。眼下には外濠の水辺空間、遠くには新宿など都心の景観が広がり、仕事の合間の休憩などで活用ができる。
「CIRCLES+市ヶ谷駅前」のリーシングを担当している三菱地所リアルエステートサービス(東京都千代田区)によれば、順調に申込・成約があり貸付も進捗しているとのこと。三菱地所では今後も立地や敷地の規模などに応じて「CIRCLES」および「CIRCLES+」のシリーズ展開を積極的に行っていく構えだ。