不動産トピックス

【10/21号・今週の最終面特集】変化が止まらない街 渋谷の最前線

2024.10.21 11:22

幅広い出店者・来場者を意識した施設づくり 渋谷ならではの新しい体験価値を提供
渋谷区・港区に絞った不動産戦略 地域のアイコンとなる物件を保有
 現在、「渋谷」駅周辺では「100年に1度」ともいわれる大規模再開発が行われている。一方で、街を歩けば大型開発だけではなく様々な変化が日夜進行しており、国内外から多くの人々を惹きつける魅力にあふれたエリアであることを再認識させてくれる。新たなムーブメントを予感させる新施設を紹介していく。

神南1丁目で開発中 宮下パークビューが売り
 バルビゾン(東京都港区)は、「渋谷」駅より徒歩数分の渋谷区神南1丁目において賃貸ビル「Barbizon98」を建築中である。竣工は2025年12月末の予定だ。
 同社は1967年(昭和42年)にアパレル企業として設立。バブル期から不動産事業にも乗り出し、現在は東京都内においては港区・渋谷区に特化した不動産賃貸事業を展開している。保有物件の特徴について、常務執行役員で不動産営業部の大野勝弘部長は次のように話す。
 「港区や渋谷区はハイセンスなテナントの出店ニーズが高いエリアです。当社保有物件は建築時期によりデザインは異なりますが、コンクリート打ちっぱなしのビルを基本として、その時々のトレンドを取り入れながらデザイン性を高めている点が特徴といえます。近年では鉄骨造でビルを建築しファサードにはガラス面を多く使用しており、2019年竣工の『Barbizon8』では建物内に自然光が入りやすい設計となっています」
 中でも様々なブランドショップが出店する表参道エリアでは、「Panasonic Beauty OMOTESANDO」が入居する「Barbizon7」や、「オニツカタイガー 表参道 NIPPONMADE」が入居する「Barbizon77」など、地域のアイコンとなるような店舗が入居するビルを保有している。
 現在建築中の「Barbizon98」は、「渋谷」駅ハチ公口から北に向かう神宮通り沿いの神南1丁目に位置しており、建物規模は地上11階建て、延床面積は1756・11㎡。基準階面積は約40坪。既存の保有物件の建替え事業として計画された。敷地裏手はJRの線路を挟んで、渋谷の新たな観光名所として多くの人を集める「MIYASHITA PARK(宮下パーク)」に面しており、建物前面だけでなく背面も開口部を設けて公園の豊富な緑を一望できる設計を採用している。外観は、道行く人々の目を引くガラスを基調とする端正なファサードが印象的で、スタイリッシュで洗練されたデザインが特徴。また各階の天井高は3000mm以上を確保して広々とした空間を演出し、貸室はフロア単位での貸し出しから分割にも対応。大野氏は「貸室の面積にバリエーションを持たせることで、飲食店舗やサービス店舗の様々な業態、オフィスやショールーム等もテナント対応できるというのが物件の特色です。エリアの特性上、国内のみならず外資企業のテナント入居も想定しています」と話す。
 建物は2025年12月末の竣工後、2026年1月以降にテナント入居の開始を予定している。都市の進化を続ける渋谷において新しいランドマークの誕生が待ち遠しい。

飲食・サウナ・宿泊 多様な街の滞在を提案
 ヒトカラメディア(東京都世田谷区)とBAKERU(東京都港区)は今月15日、飲食・サウナ・宿泊機能をもつ複合施設「渋谷文化進化」をオープンした。
 同施設は東急不動産(東京都渋谷区)が渋谷・道玄坂に所在する築38年の既存ビルを、再生建築の手法を用いて再オープンした施設「COERU(コエル)渋谷道玄坂」の1~3階にオープンしたもの。建物が元々サウナ付きの宿泊施設「カプセルホテル渋谷」として多くの人に親しまれてきた歴史を考慮し、「渋谷文化進化」では1階が飲食店、2階がドミトリータイプのホステル、3階がサウナという構成となっている。施設のプロデュースを担当したヒトカラメディアの遠藤幸一郎氏は「渋谷には働く方、買い物に訪れる方、インバウンドの観光客など、様々な属性の方が集まります。この『渋谷文化進化』は各フロアの異なる機能を横断して利用してもらうことで他の飲食店や宿泊施設ではできない体験価値を提供したい。また新しいライフスタイルを提唱し、それを文化にしたい」と話す。 
 1階の飲食店は、ランチタイムは1日50食限定のラーメン店として営業し、ディナータイムは大衆居酒屋の雰囲気とモダンな雰囲気を合わせ持った居酒屋として営業する。ランチで提供されるラーメンは、横浜の人気店「丿貫(へちかん)」創業者・佐藤義大氏が監修。魚介類、甲殻類などで濃厚に出汁をとった季節ごとに旬の食材を使用したこだわりのラーメンが提供される。またディナーは煮込みおでんとクラフトビールが看板メニューだ。
 2階のホステルと3階のサウナは男性専用。ホステルは1泊5000円からとなっており、「渋谷」駅周辺では値ごろ感のある料金で宿泊が可能である。終電後の宿泊ニーズや国内外のグループ旅行者の宿泊ニーズに対応する。3階のサウナは「カプセルホテル渋谷」時代に使用されていた機器を一部で使用し歴史を継承。リラックスできる空間を提供する。
 「COERU渋谷道玄坂」の上層階は、適法化工事や設備更新などを行い、貸室内の内装が完成された状態でテナントに賃借するセットアップオフィスとして運用されている。ヒトカラメディアの遠藤氏は「『渋谷文化進化』はビルに入居する1つのテナントにとどまらず、ビル内の他の入居企業やビルオーナーへの特典、コミュニティの形成に貢献する取り組みとして企画したものです。当施設での実績を検証しながら、今後もビルの入居企業や周辺地域に対しての価値提供に資する企画を提供していきたいと考えております」と述べている。


「渋谷スクランブルスクエア」が開業から5年
 東急(東京都渋谷区)、東日本旅客鉄道(東京都渋谷区)、東京地下鉄(東京都台東区)が事業主体となって開発された大型複合施設「渋谷スクランブルスクエア」は、11月1日に第1.期(東棟)の開業から5年を迎える。
 「渋谷スクランブルスクエア」は「渋谷」駅直結の大型複合施設として2019年11月1日に開業し、施設内は200を超える店舗のほか、中層から高層部にかけてはハイグレードオフィス、最上階には開放感のある屋上展望台「SHIBUYA SKY」が整備されている。
 開業5周年を記念し、「渋谷スクランブルスクエア」ではテナント入居しているショップのスタッフとともに、世界各地の5種のホップをブレンドした5周年オリジナルビールを制作。来月4日までの開業5周年記念イベントの期間中は、施設内の一部の飲食店にて数量限定で販売されるとのことだ。




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